2020年1月12日日曜日

児童虐待防止法の徹底理解~通告又は送致を受けた場合の措置

今回も児童虐待防止法を学びましょう。

「虐待を受けたと思われる」児童を発見した者には,「通告義務」があることを学びました。
通告先は,市町村,都道府県の設置する福祉事務所,児童相談所です。
それでは,通告を受けた市町村等は,どのような対応をすべきでしょうか。

もちろん,法に定められています。

通告又は送致を受けた場合の措置
市町村又は都道府県の設置する福祉事務所
必要に応じ近隣住民,学校の教職員,児童福祉施設の職員その他の者の協力を得つつ,当該児童との面会その他の当該児童の安全の確認を行うための措置を講ずる。
当該児童を児童相談所に送致すること。
一時保護の実施が適当であると認めるものを都道府県知事又は児童相談所長へ通知すること。
児童相談所
児童相談所が送致を受けたときは,児童相談所長は,必要に応じ近隣住民,学校の教職員,児童福祉施設の職員その他の者の協力を得つつ,当該児童との面会その他の当該児童の安全の確認を行うための措置を講ずる。
当該児童の一時保護を行う。

それでは。今日の問題です。

第30回・問題140 事例を読んで,S市子ども家庭課の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
 S市子ども家庭課は,連絡が取れないまま長期間学校を欠席している児童がいると学校から通告を受けた。S市では虐待の疑いがあると考え,A相談員(社会福祉士)が直ちに家庭訪問を実施した。しかし,保護者と思われる人物から,「子どもに会わせるつもりはない」とインターホン越しに一方的に告げられ,当該児童の状態を把握することはできなかった。

1 家庭訪問の結果を学校に伝え,対応を委ねる。

2 近隣住民に通告のことを伝え,児童を見かけたらS市に情報提供してもらう。

3 一時保護などの可能性を考慮し,児童相談所長に通知する。

4 家屋内への強制的な立入調査を行い,直ちに児童の安全を確認する。

5 親権喪失審判請求の申立てを行う。


この事例は,通告を受けた市町村の対応です。

当該児童を児童相談所に送致すること。
一時保護の実施が適当であると認めるものを都道府県知事又は児童相談所長へ通知すること。


これに合致するのは,選択肢3です。

3 一時保護などの可能性を考慮し,児童相談所長に通知する。

これが正解です。

それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。


1 家庭訪問の結果を学校に伝え,対応を委ねる。

対応を委ねる,といったものは,ほとんどはほぼ正解にはならないものです。
覚えておきましょう。


2 近隣住民に通告のことを伝え,児童を見かけたらS市に情報提供してもらう。

通告を近隣住民に伝える必要性はありません。


4 家屋内への強制的な立入調査を行い,直ちに児童の安全を確認する。


立入調査等
都道府県知事は,児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは,児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員に,児童の住所又は居所に立ち入り,必要な調査又は質問をさせることができる。

立入調査は,都道府県知事が行います。

5 親権喪失審判請求の申立てを行う。

改正前
改正後
・子の親族
・検察官
・児童相談所長
・子の親族
・検察官
・子
・未成年後見人
・未成年後見監督人
・児童相談所長

市町村長は,申立権者ではありません。


<今日の一言>


通告又は送致を受けた場合の措置として,児童の安全を確保するために,一時保護があります。

一時保護は,専門的に判断が求められるので,都道府県の役割です。

市町村は,このような判断を行うことができないので,児童相談所に送致するのです。

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