法規定されているものではなく,通知によって設置されているものです。
家庭児童相談室
設置
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都道府県又は市町村が設置する福祉事務所(任意)。
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目的
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家庭における適正な児童養育,その他家庭児童福祉の向上を図るため,福祉事務所の家庭児童福祉に関する相談指導業務の充実強化。
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配置職員
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社会福祉主事
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福祉事務所の所員に対する家庭児童福祉に関する技術的指導。
家庭児童福祉に関する福祉事務所の業務のうち,専門的技術を必要とする業務を行なうもの。
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家庭相談員
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家庭児童福祉に関する専門的技術を必要とする相談指導業務を行なう。
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家庭相談員は,どこに配置されるか,その名称から推測することができないので要注意です。
家庭相談員が配置されるのは,福祉事務所の児童家庭相談室です。
それでは,今日の問題です。
第25回・問題138 事例を読んで,次の記述のうち,家庭児童相談室の相談員の助言として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Dさん(40歳,男性)は,妻が行方不明になって1年,小学校6年生の長男に5歳の次男の保育所の送迎と留守番をさせて,なんとか1か月に10日間,朝5時に家を出て翌日朝5時に帰宅するという隔日勤務形態の仕事を続けてきた。けれども先日長男が,Dさんの夜間不在時に弟を留守番させて市内を徘徊し,補導されてしまった。最近はそうしたことがよくあったようだが,Dさんは全く気がつかなかった。Dさんは昼間の勤務にいずれ変更することを考えており,職場に相談したら,しばらくの間夜9時までの昼間勤務に切り替えてもらえることになった。Dさんは,子どもをできる限り手元において育てたいと考えている。
1 母子生活支援施設への入所を勧める。
2 児童養護施設への次男の入所を勧める。
3 放課後児童健全育成事業を長男が利用するよう勧める。
4 短期入所生活援助事業(ショートステイ)を兄弟が利用するよう勧める。
5 夜間養護等事業(トワイライトステイ)を兄弟が利用するよう勧める。
児童福祉施設や児童福祉事業の内容を知っていることが必要な問題です。
専門科目の事例問題は簡単だと思っている人もいますが,確実に正解するのは決して簡単なものではありません。
注意が必要なのは,母子生活支援施設は,その名称から「母子及び父子並びに寡婦福祉法」に定められている施設のように勘違いしてしまいそうですが,児童福祉法が定める児童福祉施設です。
母子生活支援施設の利用対象
配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童。これに準ずる事情とはDV被害者などが含まれます。
さて,この問題の正解は,選択肢5です。
5 夜間養護等事業(トワイライトステイ)を兄弟が利用するよう勧める。
夜間養護等事業(トワイライトステイ)は,仕事で帰宅が遅くなったり,休日に仕事があったりする場合に,児童養護施設等で生活指導や食事の提供などを行う事業です。
Dさんは,勤務を変更してもらって,夜9時には帰宅できます。
必要なのは,次男が保育所が終わった後,及び長男が学校が終わった後の時間です。
トワイライトステイは,その福祉ニーズを充足できる社会資源です。
1 母子生活支援施設への入所を勧める。
先述のように,母子生活支援施設は,父子家庭は利用できません。
2 児童養護施設への次男の入所を勧める。
施設入所は,Dさんの「できるだけ手元において育てたい」という希望に沿っていません。
3 放課後児童健全育成事業を長男が利用するよう勧める。
放課後児童健全育成事業の利用対象は,この問題が出題された当時,「おおむね10歳未満の児童」とされていましたが,2015(平成27)年から,「小学校に就学している児童」に対象が広がっています。
そのため,小学校6年生である長男はこの当時は利用することができませんでした。
現在であれば,長男も利用できますが,夜9時までは対応できませんし,次男はどうなっちゃうのでしょう?
4 短期入所生活援助事業(ショートステイ)を兄弟が利用するよう勧める。
短期入所生活援助事業は,病気などによって,一時的に児童の養育ができなくなった場合に,児童養護施設等を利用するものです。
今のDさんは,短期入所生活援助事業の利用の対象とはならないでしょう。もし対象となったしても,一時しのぎにすぎません。
<今日の一言>
専門科目は,事例があるから得点しやすい
それは,間違いではありませんが,確実に正解するのは,簡単ではありません。
相談援助の2科目以外の事例問題の多くは,法制度を問うものを事例のスタイルで出題しているだけであって,その内容は,ほかの一般的な一問一答式の問題と何ら変わるものではありません。
そこをしっかり押さえておかないと,取りこぼす要因となるので,注意が必要です。
事例問題は意外に難しい
専門科目は,共通科目よりも格段に点数が取りやすいと思います。
しかし,それは勉強をしっかりしてきた人の場合です。
手を抜くことなく,きっちり押さえていきましょう。