この記事を書いているのは,2020年1月24日です。
第32回国家試験の一週間前のことです。
国家試験を前にして緊張感が高まっているところでしょう。
努力は裏切らない
今の国家試験は,勉強をきっちりしてきた人は,合格基準点を超えられます。
大丈夫!!
ずっとずっと努力してきたことは,必ず得点力につながっていますよ。
今の国家試験は,言い回しで引っ掛けるような出題はほとんどないので,知識は得点に直結するのです。
さて,そのうえで大切なのは,問題を解く勘についてです。
国家試験の選択肢は5つあります。
選択肢を確実に消去できることができれば,得点力はアップします。
自分で問題を作ってみれば分かりますが,それっぽく問題をつくるのは難しいものです。
それでは,今日の問題です。
第27回・問題146 障害者雇用率制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 「障害者雇用促進法」の改正により,精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられることになった。
2 障害者雇用納付金を納付すれば,障害者雇用義務が免除される。
3 身体障害者手帳1級を所持する障害者を雇用した場合,1人をもって3人分として実雇用率を算定できる。
4 法定雇用率が未達成の場合には,自動的に企業名が公表される。
5 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
前回の問題とそっくりです。
正解は,選択肢1です。
1 「障害者雇用促進法」の改正により,精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられることになった。
前回の問題
第30回・問題143 障害者雇用率制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 2018年(平成30年)4月1日から,法定雇用率の算定基礎の対象に精神障害者が含まれることになっている。
2 重度身体障害者は,障害者雇用率の算定上,一人をもって三人とみなされる。
3 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
4 法定雇用率未達成の事業主は,利益率に応じて障害者雇用納付金を納付しなければならない。
5 国や地方公共団体には,一般の民間企業より低い法定雇用率が課せられている。
この問題の正解も選択肢1です。
2つの問題を並べてみて,対応するものを確認します。
1 「障害者雇用促進法」の改正により,精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられることになった。
1 2018年(平成30年)4月1日から,法定雇用率の算定基礎の対象に精神障害者が含まれることになっている。
→ 正解
3 身体障害者手帳1級を所持する障害者を雇用した場合,1人をもって3人分として実雇用率を算定できる。
2 重度身体障害者は,障害者雇用率の算定上,一人をもって三人とみなされる。
→ トリプルカウントはありません。ダブルカウントです。
5 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
3 特例子会社とは,事業内容を勘案して障害者の雇用義務を課さないと認められた子会社のことである。
→ この2つは,まったく同じ文章ですね。手抜きなのか,プールされている問題を使ったのかは分かりませんが,特例子会社ではありません。
異なるのは,
2 障害者雇用納付金を納付すれば,障害者雇用義務が免除される。
4 法定雇用率が未達成の場合には,自動的に企業名が公表される。
4 法定雇用率未達成の事業主は,利益率に応じて障害者雇用納付金を納付しなければならない。
5 国や地方公共団体には,一般の民間企業より低い法定雇用率が課せられている。
第27回の問題も第30回の問題もしっかり勉強してきた人なら,正解するのはそれほど難しい問題ではありません。
多くの問題は,これらの問題のように正解が明確にわかるものではありません。
勉強したことがないものを含めて出題してくるので,正解するのは難しいのです。
ここで,発揮されるのが問題を解く勘です。
それぞれを解説します。
2 障害者雇用納付金を納付すれば,障害者雇用義務が免除される。
4 法定雇用率が未達成の場合には,自動的に企業名が公表される。
この2つの選択肢は,矛盾しています。
法定雇用率が達成されていなくても,障害者雇用納付金を納付することで障害者雇用義務が免除されるなら,法定雇用率が達成できない企業名を公表する必然性はありません。
一つの選択肢だけに集中していると,このような選択肢間の矛盾に気づくのは難しいです。
問題全体を俯瞰してみることが,問題を解く勘につながります。
4 法定雇用率未達成の事業主は,利益率に応じて障害者雇用納付金を納付しなければならない。
営利企業は,利潤を追求します。
そのため,障害者を雇用することは,生産性を下げるものだと考える事業主ももしかすると存在するかもしれません。
そのため,「利益率に応じて」というのは,いかにもそれっぽい表現のように思う人もいるでしょう。問題の作り方が上手だと思います。
「利益率に応じて」だと産業界からのコンセンサスも得られやすそうです。
しかし,実際には,「利益率に応じて」といった温いものではありません。
法定雇用率に達しなかった不足分の人数に応じて,障害者雇用納付金を納付します。
5 国や地方公共団体には,一般の民間企業より低い法定雇用率が課せられている。
勘を働かせるのは,容易ではない選択肢だと言えます。
知識がものを言います。
しかし,あえて言えば,障害者優先調達推進法のように,国や地方公共団体が模範になるような法制度があることを思い出すことができれば,法定雇用率が一般企業よりも低く設定されていることはなさそうだ,と推測することができます。
<今日の一言>
何度受験しても合格点に達しないという人がいます。
がちがちになった気持ちをちょっと緩めてみることをおすすめします。
これは現役受験者も同じです。
国家試験問題は,まったく同じスタイルでは出題されることはありません。
今日の問題のように,まったく同じ表現で出題されることは,極めて珍しいです。
気持ちを緩めることで,ちょっと変化させて出題したときに対応できる可能性が上がります。
これこそが「問題を解く勘」につながります。
国家試験では,リラックスできるように心がけましょう。
みんながすぐ解けるような問題は,国家試験には向きません。
きちっと覚えてきた人が,様々な知識を活用して,正解できるように問題は作られます。
リラックスすることができれば,国試当日には実力を発揮することができるでしょう。
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