一時保護に関する規定(児童福祉法)
一時保護所
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児童相談所には,必要に応じ,児童を一時保護する施設を設けなければならない。
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一時保護の実施
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児童相談所長は,児童の一時保護を行い,又は適当な者に委託して,当該一時保護を行わせることができる。
都道府県知事は,措置を採るに至るまで,児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため,又は児童の心身の状況,その置かれている環境その他の状況を把握するため,児童相談所長に,児童の一時保護を行わせ,又は適当な者に当該一時保護を行うことを委託させることができる。
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一時保護の期間
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原則として2か月を超えてはならない。
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家庭裁判所の承認
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2か月を超えて引き続き一時保護を行おうとするときごとに,児童相談所長又は都道府県知事は,家庭裁判所の承認を得なければならない。
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それでは,今日の問題です。
第22回・問題142 児童相談所の業務内容に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 児童福祉法に基づき,必要があると認めるときは児童の一時保護を行うこと。
2 児童福祉法に基づき,保育所への入所決定を行うこと。
3 児童福祉法に基づき,母子生活支接施設への入所決定を行うこと。
4 障害者自立支援法に基づき,児童デイサービスの給付決定を行うこと。
5 児童福祉法に基づき,児童委員を指揮監督し,業務の遂行に対して必要な指示を行うこと。
この問題は,現在では成立しません。
なぜなら,選択肢4の児童デイサービスは,現在廃止されているからです。
現在は,児童福祉法が「放課後等デイサービス」として規定しています。
いずれにしても,通所支援は,市町村の役割です。
さて,この問題の正解は,前説にあったように,選択肢1です。
1 児童福祉法に基づき,必要があると認めるときは児童の一時保護を行うこと。
一時保護は,児童相談所長が実施します。
それでは,ほかの選択肢も確認していきます。
2 児童福祉法に基づき,保育所への入所決定を行うこと。
保育所への入所決定を行うのは,市町村です。
3 児童福祉法に基づき,母子生活支接施設への入所決定を行うこと。
児童福祉にかかわるものは,
通所 → 市町村
入所 → 都道府県
母子生活支接施設の入所決定は,都道府県が行います。
5 児童福祉法に基づき,児童委員を指揮監督し,業務の遂行に対して必要な指示を行うこと。
児童委員の指揮監督を行うのは,都道府県知事です。
児童相談所長は,その管轄区域内の児童委員に必要な調査を委嘱することができる,と規定があります。
<今日の一言>
児童虐待が増加する中,一時保護は,さらに重要になります。
一時保護を解除した後に,保護者からの虐待を受けて亡くなったという悲しい事件も発生しています。
そういった背景の中,2017(平成29)年の児童福祉法改正で,家庭裁判所による一時保護の審査の導入がなされています。
これまで,家庭裁判所が児童福祉にかかわるものとして,非行少年に対するものが主でしたが,児童虐待に対して,家庭裁判所がかかわるように法改正がなされています。