2020年1月27日月曜日

障害者雇用促進法が規定する就労支援

障害者の就労支援に関する法制度は,障害者総合支援法と障害者雇用促進法があります。

障害者総合支援法に基づく就労支援事業
・就労移行支援
・就労継続支援(A型・B型)
・職場定着支援
障害者雇用促進法に基づく就労支援事業
・障害者職業センター
・障害者就業・生活支援センター

それぞれの事業は,簡単にでも説明できますか?

それでは,今日の問題です。


第24回・問題145 障害者雇用及び職業リハビリテーション関係機関等で就労支援に携わる専門職等の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 「障害者雇用促進法」に基づき,5人以上の障害者を雇用する事業所で選任しなければならないとされる障害者職業生活相談員の主な役割は,事業所か障害者雇用率を達成できるよう,公共職業安定所と協力して,障害者の新規採用を進めることである。

2 障害者職業センターに配置されている障害者職業カウンセラーの主な役割は,就職先を探している重度障害者に対して,公共職業安定所に代わり,職業紹介をすることである。

3 障害者職業センターに配置されている職場適応援助者(ジョブコーチ)の主な役割は,事業所に出向いて障害者や事業主に対して,雇用の前後を通じて,障害特性を踏まえた専門的な援助を行うことである。

4 障害者就業・生活支援センターに配置される生活支援担当職員の主な役割は,事業主に対して障害者の就職後の雇用管理に係る助言等を行うことである。

5 就労移行支援事業に配置される就労支援員の主な役割は,同事業を利用している障害者が,就労継続支援事業に移行し,そこで就労できるよう支援することである。

国家試験は本当に難しいと思います。


この問題の正解は,選択肢3です。

3 障害者職業センターに配置されている職場適応援助者(ジョブコーチ)の主な役割は,事業所に出向いて障害者や事業主に対して,雇用の前後を通じて,障害特性を踏まえた専門的な援助を行うことである。


難しいと思う理由は,以下の選択肢があるからです。


1 「障害者雇用促進法」に基づき,5人以上の障害者を雇用する事業所で選任しなければならないとされる障害者職業生活相談員の主な役割は,事業所か障害者雇用率を達成できるよう,公共職業安定所と協力して,障害者の新規採用を進めることである。

この選択肢の間違いは,「障害者職業生活相談員」のところが正しくは「障害者雇用推進者」です。
どちらもあまりなじみのないものでしょう。

この選択肢を消去するためには,

障害者職業生活相談員の主な役割
障害者の新規採用を進めること

ここがそぐわないと思うことです。

障害者職業生活相談員がわからないと思うと試験委員が仕掛けたトラップにはまって,焦り混乱するので要注意です。

そのほかの選択肢も見てみましょう。


2 障害者職業センターに配置されている障害者職業カウンセラーの主な役割は,就職先を探している重度障害者に対して,公共職業安定所に代わり,職業紹介をすることである。

おそらく勉強不足の受験者は,この選択肢を選んだものと思います。

カウンセラー
職業紹介

が結び付いてしまうからです。

障害者職業カウンセラーは,地域障害者職業センターに配置されて,職業リハビリテーションにかかわります。
具体的には,職業評価,職業指導,職業準備訓練などを実施します。

この選択肢を消去するためのポイントは,

公共職業安定所に代わり

に着目することです。

法制度は,別の制度が適用されないときに,新しい法制度を作って補完します。
2つの制度が重なり合うようにはなりません。
これが「縦割り」という意味です。


4 障害者就業・生活支援センターに配置される生活支援担当職員の主な役割は,事業主に対して障害者の就職後の雇用管理に係る助言等を行うことである。

障害者就業・生活支援センターは,障害者の就業及び生活支援を行います。

就業にかかわるのは,就業支援担当職員です。
生活支援にかかわるのは,生活支援担当職員です。


5 就労移行支援事業に配置される就労支援員の主な役割は,同事業を利用している障害者が,就労継続支援事業に移行し,そこで就労できるよう支援することである。

就労移行支援事業に配置される就労支援員は,就労支援にかかわるのは正しいです。しかし,就労移行支援事業は,一般就労を目指すものです。

結果的には,一般就労に結び付かず,就労継続支援を利用することになる障害者もいるかもしれません。

しかし,最初から就労継続支援事業で就労を目指すというのは,就労移行支援事業の目的とは異なります。

一般就労できるように,企業実習などを行います。



<今日の一言>


国家試験で重要なのは,落ち着いて問題文を読むこと

基本的なことですが,意外と難しいものです。

なぜなら,今日の問題のように,最初の選択肢に難しめの選択肢があった場合,浮足立ってしまうからです。

障害者職業カウンセラーのように,職名から職務内容が推測しにくいものもありますが,多くの場合は,事業名や職名から,その内容が推測できるものがほとんどです。

知らないものが出題されても,決して浮足立つことなく,落ち着いて問題文を読んで,推測することが大切です。

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