2020年1月9日木曜日

児童虐待防止法の徹底理解~児童虐待の種類

今回も児童虐待防止法を学んでいきましょう。

三虐待防止法の虐待の種類は,以下の通りです。


虐待の種類

児童虐待防止法
高齢者虐待防止法
障害者虐待防止法
身体的虐待
性的虐待
ネグレクト
心理的虐待
経済的虐待
×

違いがあるのは,児童虐待防止法には,経済的虐待がないことです。
それ以外は,共通です。

それでは,今日の問題です。

第24回・問題138 「児童虐待の防止等に関する法律」に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 児童虐待は,身体的虐待,性的虐待,ネグレクト(養育の怠慢・拒否),心理的虐待,社会的暴力の5つの類型に分類されている。

2 児童虐待の通告を受けた機関は,秘密保持のため,当該機関の職員自らが直接児童の安全確認を行わなければならない。

3 児童虐待を行った保護者に対して児童福祉法第27条により行われる指導を保護者が受けず,さらに,指導を受けるよう行われた都道府県知事による勧告に従わないとき,児童相談所長は家庭裁判所に未成年後見人選任の申立てを行う。

4 児童虐待を受けた児童について,児童福祉施設に入所又は一時保護が行われた場合,親権者からの要求があれば,当該施設の長又は児童相談所長は施設,一時保護所において面会をさせなければならない。

5 保護者が再出頭要求に応じない場合において,児童虐待が行われている疑いがあるときは,安全の確認・安全の確保のため,都道府県知事は裁判官の許可状を得て児童の住所又は居所に臨検させ,又は児童を捜索させることができる。


選択肢1はすぐ間違いだとわかるでしょう。

児童虐待防止法は,「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト」「心理的虐待」を児童虐待として定義しています。

さて,この問題の正解は,選択肢5です。

5 保護者が再出頭要求に応じない場合において,児童虐待が行われている疑いがあるときは,安全の確認・安全の確保のため,都道府県知事は裁判官の許可状を得て児童の住所又は居所に臨検させ,又は児童を捜索させることができる。


臨検・捜索等
臨検,捜索等
都道府県知事は,児童の保護者が正当な理由なく同項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り又は調査を拒み,妨げ,又は忌避した場合,児童虐待が行われている疑いがあるときは,当該児童の安全の確認を行い,又はその安全を確保するため,児童の福祉に関する事務に従事する職員に,地方裁判所,家庭裁判所又は簡易裁判所の許可状によって,当該児童の住所若しくは居所に臨検,又は当該児童を捜索させることができる。

それでは,ほかの選択肢も確認しましょう。

2 児童虐待の通告を受けた機関は,秘密保持のため,当該機関の職員自らが直接児童の安全確認を行わなければならない。

法では,以下のように規定されています。


通告又は送致を受けた場合の措置
市町村又は福祉事務所の長は,必要に応じ近隣住民,学校の教職員,児童福祉施設の職員その他の者の協力を得つつ,当該児童との面会その他の当児童の安全の確認を行うための措置を講ずる。

このように,「直接児童の安全確認を行わなければない」とは規定されていません。

3 児童虐待を行った保護者に対して児童福祉法第27条により行われる指導を保護者が受けず,さらに,指導を受けるよう行われた都道府県知事による勧告に従わないとき,児童相談所長は家庭裁判所に未成年後見人選任の申立てを行う。

未成年後見人選任の申立権者
未成年者本人
未成年者の親族
その他の利害関係人


未成年者本人が申し立てることができるようになったのは,いつのことか詳しくは分かりませんが,これは「児童権利条約」が保障する「意見表明権」に関連していると言えるでしょう。

さて,問題に戻りますが,児童相談所長は,未成年後見人選任を申し立てることはできません。

4 児童虐待を受けた児童について,児童福祉施設に入所又は一時保護が行われた場合,親権者からの要求があれば,当該施設の長又は児童相談所長は施設,一時保護所において面会をさせなければならない。

面会等の制限等
面会等の制限等
一時保護,施設入所が行われた場合,当該児童との面会,当該児童との通信の全部あるいは一部を制限することができる。

このような規定を知らなくても,面会を制限できることは想像がつくことでしょう。

<今日の一言>


臨検・捜索について

臨検・捜索は,出頭要求,立入調査,再出頭要求を経て,それでも応じない場合に実施されます。

しかし,2016(平成28)年の法改正で,必ずしも再出頭要求を経なくても「臨検・捜索」が行えるようになりました。

この改正は,一刻も早く児童の安全を確保することができるようにするためです。

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