第32回の国家試験のボーダーラインは,88点でした。
第31回は,89点でしたので,1点下がったことになります。
第33回国試の合格基準も6割程度に設定されることは変更ないでしょう。
受験生にとって気になるのは,いわゆるボーダーラインは難易度によって補正されることです。
1点足りなくて不合格になることは,とても辛いことです。
「ボーダーラインがあともう1点低ければ」と思うことでしょう。
あるいは,「なぜあの問題を間違ったのだろう」と呵責の気持ちにもなるでしょう。
ここで注意したいのは,「あと1点」を軽んじないことです。
1点の積み上げは,難しいのです。
知識不足の人は,知識をつけなければなりません。
知識不足の人が合格できる試験では絶対にありません。
不合格になると,しばらく勉強はしたくないと思うでしょう。
問題も見たくないでしょう。
その気持ちは痛いほどよくわかります。
しかし,再スタートは早いほど良いです。
第32回の国試問題です。
問題109 カデューシン(Kadushin,A.& Kadushin,G.)が示した,「会話」と「ソーシャルワーク面接」の相違に関する記述として,正しいものを1つ選びなさい。
1 「ソーシャルワーク面接」と比べて,「会話」には意図的な目的が存在している。
2 「ソーシャルワーク面接」と比べて,「会話」では参加者間に明確な役割分担がある。
3 「ソーシャルワーク面接」と比べて,「会話」の参加者はしばしば文化的に異質である。
4 「会話」と比べて,「ソーシャルワーク面接」には参加者間に平等な権威と力がある。
5 「会話」と比べて,「ソーシャルワーク面接」ではスビーチのパターンが構造化されている。
正解は5です。
問題137 次のうち,子どもの権利に関する先駆的な思想を持ち,児童の権利に関する条約の精神に多大な影響を与えたといわれ,第二次世界大戦下ナチスドイツによる強制収容所で子どもたちと死を共にしたとされる人物として,正しいものを1つ選びなさい。
1 ヤヌシュ・コルチャック(Korczak,J.)
2 トーマス・ジョン・バーナード(Barnardo,T.J.)
3 セオドア・ルーズベルト(Roosevelt,T.)
4 エレン・ケイ(Key,E.)
5 ロバート・オーウェン(Owen,R.)
正解は1です。
どちらも簡単な問題ではありません。
5月以降に発売される過去問の解説集には,詳しく解説が書いてありますし,参考書に掲載されていることでしょう
そのため,来年の国試を始めて受験する人は,もう目新しくなくなります。
国家試験はそのようにして,脈々として続いてきました。
国家試験に合格するためには,ある程度こういった問題でも得点できることが必要です。
そのためには,問題慣れすることが求められます。
それにはある程度の時間が必要です。
何度も受験しても合格できない方へ
勉強方法にミスマッチがないか,考えてみましょう。
「知識不足だった」という言葉でまとめてしまうと,問題点が明らかにならないので注意が必要です。
コツは,正解できなかった問題を解いた時の自分の思考を思い出すことです。
そして,実際に紙に書き出してみます。
今まで見えてこなかったものが見えてくるはずです。
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