2020年3月6日金曜日

合格・不合格は紙一重~その4 国&地方公共団体の役割

社会福祉振興・試験センターは,受験生の得点分布を発表していませんが,ボーダーラインを中心として,1点・2点の範囲には,数百人,もしかすると1,000人以上がいるのではないかと思います。

第31回国試では,不適切問題が合格発表後に明らかになり,418人が追加合格したことから推測できます。

正解できる問題で確実に得点することの重要性を実感します。


それでは今日の問題です。

第32回・問題59 「障害者総合支援法」に定められている市町村の役割などに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 障害支援区分の認定のための調査を,指定一般相談支援事業者等に委託することができる。

2 障害支援区分の認定に関する審査判定業務を行わせるため,協議会を設置する。

3 市町村障害福祉計画を策定するよう努めなければならない。

4 指定障害福祉サービス事業者の指定を行う。

5 高次脳機能障害に対する支援普及事業などの特に専門性の高い相談支援事業を行う。


この問題はとてつもなく難しい問題です。


正解は,選択肢1です。

1 障害支援区分の認定のための調査を,指定一般相談支援事業者等に委託することができる。

もし,この問題が以下だったら,もう少し易しくなったのではないかと思います。

1 障害支援区分の認定のための調査を,指定特定相談支援事業者等に委託することができる。

指定一般相談支援事業者は,地域相談支援を行う事業者なので,介護給付に結びつかないのです。

ほかの選択肢も確認しましょう。


2 障害支援区分の認定に関する審査判定業務を行わせるため,協議会を設置する。

障害支援区分の認定の審査判定のために設置されるのは,市町村審査会です。


3 市町村障害福祉計画を策定するよう努めなければならない。

市町村障害福祉計画は策定しなければなりません。


4 指定障害福祉サービス事業者の指定を行う。

指定障害福祉サービス事業者の指定の指定は,都道府県の役割です。


5 高次脳機能障害に対する支援普及事業などの特に専門性の高い相談支援事業を行う。

地域生活支援事業は,介護保険の地域支援事業と違って,市町村と都道府県,それぞれの役割があります。

そのうち,特に専門性の高い相談支援事業を行うのは,都道府県地域生活支援事業です。



<今日の一言>


事業所指定の基本原則は,都道府県が行う。

介護保険では,地域密着型サービスがあるので,事業所指定は市町村が行いますが,基本的に事業所指定は都道府県の役割です。

例外はもちろんあります。その一つが介護保険の地域密着型サービスです。

これからの勉強の中で,基本原則に反するものが出てきたらまとめておきましょう。

確実にしっかり覚えられるでしょう。

市町村が指定するのは,例外なので数は多くはありません。

覚えるのは市町村が指定するもののみ

都道府県が指定するものを覚える必要はありません。
その他大勢だからです。


市町村が指定するもの
事業者
介護保険法
指定居宅介護支援事業者
指定地域密着型サービス事業者
指定介護予防支援事業者
障害者総合支援法
指定特定相談支援事業者
児童福祉法
指定障害児相談支援事業者

※指定一般相談支援事業者の指定は都道府県。

これら以外に,基本原則に反するもの(つまり市町村が指定するもの)があったら,抜き出しておくとよいです。

国と地方公共団体の役割の違いはわかりやかいですが,市町村と都道府県の役割の違いは,その関係ほど明確ではありません。

しかし,市町村と都道府県の役割には,ある一定の原則があります。

これからの勉強でそれを体感していってください。

法制度にかかわる複数の科目で出題されるので,とても重要です。

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