2020年3月26日木曜日

新カリキュラムの概要~⑫ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)

新しいカリキュラムによる国家試験は,第37回から実施します。

現在の相談援助の2科目の変遷
旧カリキュラム
現カリキュラム
新カリキュラム
社会福祉援助技術
相談援助の基盤と専門職
ソーシャルワークの基盤と専門職
ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)
相談援助の理論と方法
ソーシャルワークの理論と方法
ソーシャルワークの理論と方法(専門)
30
28


だんだん科目が細分化されてきています。

新カリキュラムで,2つずつに分かれた理由は,共通科目と専門科目に分かれたことによります。

さて,今回は,ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)を取り上げます。



ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)(30時間)
ねらい(目標)
①社会福祉士の職域と求められる役割について理解する。
②ソーシャルワークに係る専門職の概念と範囲について理解する。
③ミクロ・メゾ・マクロレベルにおけるソーシャルワークの対象と連関性について理解する。
④総合的かつ包括的な支援と多職種連携の意義と内容について理解する。
教育に含むべき事項(内容)
教育に含むべき事項
想定される教育内容の例
①ソーシャルワークに係る専門職の概念と範囲
1 ソーシャルワーク専門職の概念と範囲

2 社会福祉士の職域
・行政関係
・福祉関係(高齢者領域、障害者領域、児童・母子領域、生活困窮者自立支援・生活保護領域等)
・医療関係
・教育関係
・司法関係
・独立型事務所 等
・社会福祉士の職域拡大
3 福祉行政等における専門職
・福祉事務所の現業員、査察指導員、社会福祉主事、児童福祉司、身体障害者福祉司、知的障害者福祉司 等
4 民間の施設・組織における専門職
・施設長、生活相談員、社会福祉協議会の職員、地域包括支援センターの職員、スクールソーシャルワーカー、医療ソーシャルワーカー 等
5 諸外国の動向
・欧米諸国の動向
・その他諸外国における動向
②ミクロ・メゾ・マクロレベルにおけるソーシャルワーク
1 ミクロ・メゾ・マクロレベルの対象
・ミクロ・メゾ・マクロレベルの意味
・ミクロ・メゾ・マクロレベルの対象
2 ミクロ・メゾ・マクロレベルにおけるソーシャルワーク
・ミクロ・メゾ・マクロレベルへの介入
・ミクロ・メゾ・マクロレベルの連関性
・ミクロ・メゾ・マクロレベルの支援の実際
③総合的かつ包括的
な支援と多職種連携の意義と内容
1 ジェネラリストの視点に基づく総合的かつ包括的な支援の意義と内容
・多機関による包括的支援体制
・フォーマル・インフォーマルな社会資源との協働体制
・ソーシャルサポートネットワーキング
2 ジェネラリストの視点に基づく多職種連携及びチームアプローチの意義と内容
・多職種連携及びチームアプローチの意義
・機関・団体間の合意形成と相互関係
・利用者、家族の参画

この科目は,社会福祉士の専門科目になるものです。
随所に「なるほど」と思うものが散らばっています。

それはさておき,これを見て「あれっ?」と思った人もいるでしょう。


②ミクロ・メゾ・マクロレベルにおけるソーシャルワーク
1 ミクロ・メゾ・マクロレベルの対象
・ミクロ・メゾ・マクロレベルの意味
・ミクロ・メゾ・マクロレベルの対象
2 ミクロ・メゾ・マクロレベルにおけるソーシャルワーク
・ミクロ・メゾ・マクロレベルへの介入
・ミクロ・メゾ・マクロレベルの連関性
・ミクロ・メゾ・マクロレベルの支援の実際

例のごとく第32回には,以下のように出題されています。

第32回・問題106 事例を読んで,B社会福祉士が介入しようとしているシステムとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕
 P国から2年前に来日したCさんは,現在,難民認定を得て就労可能な在留資格を持って,Q市で暮らしている。日本語能力は十分ではないが,R市にある会社に就職している。しかし,自宅付近では孤独な暮らしで,近隣住民との会話ややりとりは全くない。Cさんは,どうしたら近隣住民と交流を持てるのかと悩み,Q市社会福祉協議会のB社会福祉士に相談した。B社会福祉士は,Cさんと同じような相談を複数回受けたことがあったため,実態把握の必要性を感じた。このため,Q市に居住している外国籍住民を対象とした聞き取りを行い,その結果を町内会に報告し,対応を促すこととした。

1 ミクロシステム

2 メゾシステム

3 クロノシステム

4 マクロシステム

5 エクソシステム



正解は,選択肢2です。

メゾシステムは,地域レベルのシステムです。


重要ポイント
ミクロ
個人,家族など
メゾ
組織,集団,地域など
マクロ
国など


おまけ
エクソ
メゾとマクロの中間
クロノ
時間軸



なぜ「エクソ」と「クロノ」がおまけかというと,国家試験は,5つの選択肢が必要です。

重要ポイントである「ミクロ」「メゾ」「マクロ」では,2つ足りません。そのために,足されたのが「エクソ」と「クロノ」だと考えられます。

つまりおまけだということになります。

第27回国試では,以下のように出題されています。

1 ミクロレベル
2 メゾレベル
3 サブレベル
4 マクロレベル
5 エクソレベル

この問題の正解は,「2 メゾレベル」です。

おまけは「サブ」「エクソ」です。


<今日の一言>

第32回の「クロノ」もよくわからないものでしたが,「サブ」も「クロノ」もよくわからないものです。

新カリの国試になる前から,何度もこのような問題がおそらく出題されるでしょう。

その場合は,おまけが必ず伴います。
「ミクロ」「メゾ」「マクロ」では,2つ足りないからです。

しかし,覚えておいてほしいのは,おまけはあくまでおまけです。本筋ではありません。

おまけが,正解になることはめったにあるものではありません。

「エクソ」は,第27回と第32回の国試のいずれにもおまけとして出題されています。しかし,その範囲は明確ではありません。わかるのは,「メゾ」と「マクロ」の中間だということです。

厳密にいうと,マクロの範囲も明確ではありません。

マクロレベルと言えば,国の制度や政策レベルとなりますし,マクロソーシャルワークと言えば,地域でのソーシャルワークとなります。

そういった意味で,正解にしやすいのは,「ミクロ」と「メゾ」なのかもしれません。

新カリによるテキストは,令和3年から使われ始めるので,そこで明確に示されると思います。

そうなると,あいまいなままであるのは第33回で,第34回国試以降は,もう少し出題しやすくなるのかしれません。

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