第37回の国家試験は,2025年2月に実施されるので,まだまだ先のことですが,一応どのような内容になるのかを見ていきたいと思います。
なお,カリキュラムが変わっても,一度手にした受験資格はなくなりませんので,安心してください。
まずは,医学一般です。
現行の「人体の構造と機能及び疾病」からのこの名称に変わります。
医学一般(30時間)
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ねらい(目標)
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①人のライフステージにおける心身の変化と健康課題について理解する。
②健康・疾病の捉え方について理解する。
③人の身体構造と心身機能について理解する。
④疾病と障害の成り立ち及び回復過程について理解する。
⑤公衆衛生の観点から,人々の健康に影響を及ぼす要因や健康課題を解決するための対策を理解する。
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教育に含むべき事項(内容)
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教育に含むべき事項
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想定される教育内容の例
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①ライフステージにおける心身の変化と健康課題
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1 ライフステージにおける心身の変化と健康課題
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2 心身の加齢・老化
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3 ライフステージ別の健康課題
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・乳幼児期,学童期,思春期,青年期,壮年期,前期高齢期,後期高齢期
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②健康及び疾病の捉え方
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1 健康の概念
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・WHO憲章
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2 疾病の概念
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・疾患,疾病,病気の違い
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3 国際生活機能分類(ICF)
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・国際生活機能分類(ICF)の概要(コーディング,活用事例を含む)
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③身体構造と心身機能
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1 人体部位の名称
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2 基幹系と臓器の役割
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④疾病と障害の成り立ち及び回復過程
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1 疾病の発生原因
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・外的要因
・内的要因
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2 病変の成立機序
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・炎症,変性,虚血,発癌,免疫反応 等
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3 障害の概要
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・視覚障害,聴覚障害,平衡機能障害,肢体不自由,内部障害,知的障害,精神障害(DSMを含む)発達障害,認知症,高次脳機能障害 等
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4 リハビリテーションの概要と範囲
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・リハビリテーションの定義,目的,対象,方法
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5 疾病と障害及びその予防・治療・予後・
リハビリテーション
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・悪性腫瘍,生活習慣病,脳血管疾患,心疾患
・感染症
・神経疾患
・先天性疾患
・肺疾患
・腎・泌尿器疾患
・消化器疾患
・骨・関節の疾患
・血液疾患
・目・耳の疾患
・精神疾患
・高齢者に多い疾患
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⑤公衆衛生
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1 公衆衛生の概要
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・公衆衛生の考え方
・健康の社会的決定要因(SDH)
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2 健康増進と保健医療対策
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・母子保健対策,成人保健対策(生活習慣病予防対策及びがん対策),高齢者保健対策,精神保健対策,感染症対策
等
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第32回国家試験では,この内容からすでに出題されています。
問題4 事例を読んで,国際生活機能分類(ICF)に基づいて分類する場合,正しいものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Aさん(50歳男性)は,脳出血により片麻痺を残したが,リハビリテーションによって杖と下肢装具を用いた自立歩行を獲得し,復職を達成した。混雑時の通勤の負担と,思うようにならない気分の落ち込みから仕事を休みがちとなったが,職場より出勤時間の調整が図られ,仕事を再開するに至った。
1 片麻痺は,「活動」に分類される。
2 歩行は,「心身機能・身体構造」に分類される。
3 歩行に用いた杖と下肢装具は,「個人因子」に分類される。
4 気分の落ち込みは,「活動」に分類される。
5 出勤時間調整の職場の配慮は,「環境因子」に分類される。
正解は,5です。
事例になっていて,びっくりした人もいたかもしれません。
この問題は,想定される教育内容の例の「国際生活機能分類(ICF)の概要(コーディング,活用事例を含む)」にあたると考えられます。
新カリキュラムに向けて,既に国家試験も準備し始めているようです。
現行カリキュラムと新カリキュラムの内容は重なっているところもありますが,新しく加わる部分もあります。
そういう部分を新カリキュラムに入る前に,今の出題基準から外れない範囲で,小出しにしていくことで,新しいカリキュラムにスムーズに移行させようとしているのかもしれません。