2020年3月8日日曜日

新カリキュラムによる国家試験は,第37回から実施されます

2020年3月6日に厚生労働省から,社会福祉士養成課程における教育内容等の見直しに関する各種法令・通知が発表されました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-yousei/index_00012.html


「社会福祉士学校及び介護福祉士学校の設置及び運営に係る指針について」の一部改正について 

1.改正の趣旨
社会福祉士養成課程については、「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」(平成30年3月27日社会保障審議会福祉人材確保専門委員会報告書。以下、「報告書)という。において、「地域共生社会の実現に向けて求められる、複合化・複雑化した課題を受け止める多機関の協働による包括的な相談支援体制や地域住民等が主体的に地域課題を把握して解決を試みる体制の構築に必要なソーシャルワークの機能を社会福祉士が担うために必要な実践能力を明らかにし、その能力を身につけることができるよう、社会福祉士の養成カリキュラム等の見直しを検討すべきである。」とされた。
これを踏まえ、社会状況等の移り変わりや制度改正等を踏まえた内容に充実するとともに、必要な実践能力を習得できる内容となるよう、社会福祉士養成課程の教育内容の見直しを行った。
併せて、地方分権改革における令和元年の地方からの提言等の対応方針に基づき、必要な措置を講じた。

2.改正の内容
①社会福祉士養成課程の教育内容の見直しについて
「報告書」及び平成19年度カリキュラム改正以降の社会状況の変化や法制度の創設等を踏まえ、ソーシャルワーク機能を発揮できる実践能力の習得が図られるよう、具体的に主に以下の点について、教育内容の見直しを行った。

ア 養成カリキュラムの内容、実習及び演習の充実
○地域共生社会に関する科目の創設
地域共生社会の実現に向けて求められる社会福祉士が担うべき役割を理解し、多機関の協働による包括的な相談支援体制の仕組み等の知識を習得するための科目として「地域福祉と包括的支援体制」を創設した。

○ソーシャルワーク機能を学ぶ科目の再構築
ソーシャルワーク機能の実践能力を有する社会福祉士を養成するため、「講義-演習-実習」の学習循環を作るとともに、ソーシャルワークの専門職である社会福祉士と精神保健福祉士の養成課程において共通して学ぶべき内容(共通科目)と、社会福祉士として専門的に学ぶべき内容が明確になるよう、科目を再構築し、また、実習演習科目のうち、共通科目となる「ソーシャルワーク演習」については、精神保健福祉士養成課程との合同授業を可能とした。

○司法領域に関する教育内容の見直し及び時間数の拡充
司法と福祉の更なる連携を促進し、司法領域において社会福祉士が求められる役割を果たすことができるよう、現行の「更生保護」を基礎として教育内容の見直しを行うとともに、時間数を拡充し、社会福祉士と精神保健福祉士の共通科目として「刑事司法と福祉」を創設した。

○社会福祉に関する指定科目、基礎科目の必修化
社会福祉士として求められる知識等を適切に学ぶ観点から、複数の科目のうち1科目を履修することとしている現行の仕組み(※)を見直し、全ての科目の履修を必修化する。

○実習時間の免除の実施
福祉の専門職である介護福祉士、精神保健福祉士の資格を有する者(履修中の者を含む)が、社会福祉士の養成課程において実習を行う場合、社会福祉士の資格を取得することを希望する者の負担の軽減を図るため、60時間を上限に実習を免除する。

イ 共通科目の拡充
○精神保健福祉士養成課程の教育内容との共通科目の拡充
ソーシャルワークの専門職である社会福祉士と精神保健福祉士の養成課程において、相互に資格を取得することを希望する者の負担の軽減を図るため、それぞれの専門性に留意しつつ、共通となる科目数・時間数を拡充する。

②地方分権改革の係る対応について
地方からの提言「看護師等が、介護福祉士実務者研修を受講する際に、一部科目(医療的ケア)の受講を免除すること」に対して、関係団体等と協議を行い、看護師、准看護師の資格を有する者について、医療的ケアの科目の履修を免除することを可能とする。



さて,これを受けて,「新カリキュラム導入への道」を以下のようにまとめました。


教育課程
年度
大学等
短大等
一般養成施設等
短期養成施設等
2020年度
(令和2)
現行
現行
現行
現行
2021年度
(令和3)
新カリ
2022年度
(令和4)
新カリ
2023年度
(令和5)
新カリ
2024年度
(令和6)
新カリ

これによって,国家試験は以下のように実施されることになります。

国家試験の実施
年度
カリキュラム
2020年度
2021年2月実施)
33
現行カリキュラム
2021年度
2022年2月実施)
34
2022年度
2023年2月実施)
35
2023年度
2024年2月実施)
36
2024年度以降
2025年2月実施)
37回以降
新カリキュラム

教育課程では,令和3年から順次変更されていき,国家試験は,全施設が新カリキュラムで足並みがそろった第37回国家試験から,新しい科目により実施されることになります。

前回の変更のときには,このように順次変更しなかったため,教育課程は旧カリ,国試は新カリというねじれが発生しました。

今回は,そういうことがないように配慮されています。

科目
共通科目
医学概論
心理学と心理的支援
社会学と社会システム
社会福祉の原理と政策
地域福祉と包括的支援体制
社会保障
障害者福祉
権利擁護を支える法制度
刑事司法と福祉
社会福祉調査の基礎
ソーシャルワークの基盤と専門職
ソーシャルワークの理論と方法
専門科目
(社会福祉士)
高齢者福祉
児童・家庭福祉
貧困に対する支援
保健医療と福祉
福祉サービスの組織と経営
ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)
ソーシャルワークの理論と方法(専門)

現行カリキュラムと科目数は一緒の19科目です。

なくなる科目
福祉行財政と福祉計画
就労支援サービス

これらの内容がなくなるわけではなく,そのほかの科目の内容に組み込まれます。

新しい科目
ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)
ソーシャルワークの理論と方法(専門)

前回のように,本当に新しい領域の科目は加わっていません。

そのほかの主だった変更点

共通科目 → 専門科目
貧困に対する支援
保健医療と福祉

専門科目 → 共通科目
刑事司法と福祉
社会福祉調査の基礎


教育課程に関して

実習時間
180時間 → 240時間


<今日の一言>

新しいカリキュラムによる国家試験の実施は,第37回からであることが正式に決定しました。

現時点(2020年3月)では,現行カリキュラムによる国家試験は,あと4回実施されます。

第22回から現行カリキュラムによる国家試験が実施されてきましたが,受験対策としては,今が一番良い時です。

なぜなら,どの科目についても出題される内容がほぼ固まってきているからです。

次回のカリキュラムは,科目の大幅な改正は行われていないことと,新カリで出題される内容は,第33~36回国試で小出しにされていくと考えられるので,前回の移行期よりも対応は困難ではないかと思います。

しかし,できれば現行カリキュラムで勉強した人は,現行カリキュラムで実施される第33~36回国試で資格取得を目指してほしいと思います。

実習について

これから,受験資格を取ろうと思っている人の中で,実習をしなければならない人は,今のうちに受験資格を取った方が良いです。

実習時間が,現行よりも60時間も多くなるからです。1日7.5時間だと8日間も多く,実習をしなければなりません。


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