2020年3月25日水曜日

新カリキュラムの概要~⑪ソーシャルワークの基盤と専門職

新しいカリキュラムは,4年制大学では,令和3年度から導入されます。

新しいカリキュラムでは,ようやく「ソーシャルワーク」という言葉が科目名になりました。

すごいことだと思います。

国家試験の視点で言えば,以下のようになります。


121
社会福祉援助
2236
相談援助
37回~
ソーシャルワーク


「社会福祉援助」も「相談援助」もその当時の人は,一生懸命考えたと思いますが,制度ができて,30年以上が経ち,ようやくなじみ深い「ソーシャルワーク」がカリキュラムに入りました。

すごいと思いませんか?

さて,「ソーシャルワークの基盤と専門職」の概要です。


ソーシャルワークの基盤と専門職(30時間)
ねらい(目標)
①社会福祉士及び精神保健福祉士の法的な位置づけについて理解する。
②ソーシャルワークの基盤となる考え方とその形成過程について理解する。
③ソーシャルワークの価値規範と倫理について理解する。
教育に含むべき事項(内容)
教育に含むべき事項
想定される教育内容の例
①社会福祉士及び精神保健福祉士の法的な位置づけ
1 社会福祉士及び介護福祉士法
・定義、義務
・法制度成立の背景
・法制度見直しの背景
2 精神保健福祉士法
・定義、義務
・法制度成立の背景
・法制度見直しの背景
3 社会福祉士及び精神保健福祉士の専門性

3社会福祉士及び精神保健福祉士の専門性
1 ソーシャルワークの定義
・ソーシャルワーク専門職のグローバル定義


③ソーシャルワークの基盤となる考え方
1 ソーシャルワークの原理
・社会正義
・人権尊重
・集団的責任
・多様性の尊重
2 ソーシャルワークの理念
・当事者主権
・尊厳の保持
・権利擁護
・自立支援
・ソーシャルインクルージョン
・ノーマライゼーション
④ソーシャルワークの形成過程
1 ソーシャルワークの形成過程
・慈善組織協会
・セツルメント運動
・医学モデルから生活モデルへ
・ソーシャルワークの統合化
⑤ソーシャルワークの倫理
1 専門職倫理の概念

2 倫理綱領
・ソーシャルワーカーの倫理綱領
・社会福祉士の倫理綱領
・精神保健福祉士の倫理綱領
3 倫理的ジレンマ



この科目は,現在の「相談援助の基盤と専門職」の後継科目ですが,大きく異なるのは,専門科目から共通科目になることです。

その代わり,専門科目では,「ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)」という科目が新しく加わります。

何問出題される科目になるのかは予測不能ですが,かなり手ごわい科目になりそうです。

人名や歴史,あるいは外国語が苦手だという人は多いですが,そういった人はますます得点するのが難しい科目になるでしょう。

さて,社会福祉士を受験する人にとって,精神保健福祉士のことはよく知らないという人もいると思いますが,その違いを確実に押さえておくことが必要です。

社会福祉士

医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行う。


精神保健福祉士

精神保健福祉士は、その業務を行うに当たって精神障害者に主治の医師があるときは、その指導を受けなければならない。

医師との関係がまったく異なっているのが分かると思います。

第30回・問題91 社会福祉士及び介護福祉士法で定められている社会福祉士の業務と義務に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 社会福祉士でなければ社会福祉士の名称を用いて業務を行ってはならない。

2 業務を行う上で主治医の指示を受けなければならない。

3 5年ごとに更新のための研修を受けなければならない。

4 秘密保持の義務は,社会福祉士でなくなった後においては適用されない。

5 業務を行うに当たり,福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。


正解は,選択肢1と5です。

この中で,着目すべきなのは,

2 業務を行う上で主治医の指示を受けなければならない。

社会福祉士には,主治医との関係性では,「連絡と調整」が示されているだけです。

精神保健福祉士の場合であっても,「指示」ではなく,「指導」となります。


その精神保健福祉士の問題です。

(精神保健福祉士)
第19回・問題62の精神保健福祉士法の規定に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 身体上又は精神上の障害のある者の介護を行う。

2 信用失墜行為の禁止の義務がある。

3 業務独占の国家資格である。

4 医療保護入院者等の行動制限の要否の判断を行う。

5 相談援助業務を行うに当たって主治医の指示を要する。


正解は,選択肢2です。
2 信用失墜行為の禁止の義務がある。

この部分は,社会福祉士と精神保健福祉士は共通です。


この問題で着目したいのは,

5 相談援助業務を行うに当たって主治医の指示を要する。

です。

「指示」ではなく「指導」です。



<今日の一言>

現在のカリキュラムの出題基準でも,精神保健福祉士については以下のように示されています。


2 精神保健福祉士の役割と意義
1)精神保健福祉士法
定義、義務
その他
2)精神保健福祉士の専門性
 

しかし,今まで実際には出題されたことがありません。

今後は,新しいカリキュラムを見据えて,精神保健福祉士法が出題されるでしょう。

精神保健福祉士は、その業務を行うに当たって精神障害者に主治の医師があるときは、その指導を受けなければならない。

は社会福祉士との大きな相違点です。確実に覚えておきたいです。

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