社会福祉士の国家試験の合格基準
問題の総得点の60%程度を基準として,問題の難易度で補正した点数以上の得点の者。
問題の難易度によって,合格基準点(ボーダーライン)は,上下します。
受験者がどのくらいの点数が取れているのかは,社会福祉士の国家試験の実施機関である「公益財団法人 社会福祉振興・試験センター」は一切発表していません。
しかし,わかるのは,いわゆるボーダーラインを超える点数を超えるのは,わずか3割程度であることです。
受験者の得点分布がどのようになっているのか,興味深いものです。
仮にボーダーラインを90点だと考えると,平均点は,80点は超えていないのではないでしょうか。
さらに仮定の話をすすめると,平均が80点だとすると,2割の人は,10点以内の差で不合格になっていることになります。
10点というととても大きいように感じるかもしれませんが,19科目のうち,半数程度の科目でプラス1点を上乗せするだけで合格する可能性があります。
つまらないミスを重ねていけば不合格になりますし,つまらないミスを極力なくすことで合格します。
さて,今日の問題です。
問題102 事例を読んで,Kソーシャルワーカー(社会福祉士)の援助の初回面接における応答として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Ⅹ小児がん拠点病院のKソーシャルワーカーは医師からの依頼で,これからの治療や生活に対する支援実施のため,同院の血液腫瘍科で小児がんと告知された女児(3歳)の両親と面談することになった。面接の冒頭,目を真っ赤にした母親は,「先生から娘の病気の説明は受けましたが,現実味がありません。ただ,なぜと繰り返し考えてしまいます。私たちの娘はなぜ3歳でがんになったのですか。できることなら私が代わってあげたい」と訴えた。
1 「今は混乱しているでしょうが,そのうち冷静に考えることができますよ」
2 「同じ経験をされている方はたくさんいます。その方々と会ってみませんか」
3 「ご心配が募る中でも娘さんの病気に向き合おうと努めておられるのですね」
4 「今は治療も進歩しているので大丈夫。安心して治療に専念しましょう」
5 「これからの治療や生活について,ご一緒に考えていきたいと思います」
正解は,選択肢3と5です。
決して難しい問題ではないですが,確実に正解するのは,そんなに簡単なことではありません。
こういった問題を確実に正解することで,10点の差は簡単についていきます。
最新の記事
ノーマライゼーションの国家試験問題
今回は,ノーマライゼーションに取り組みます。 前説なしで,今日の問題です。 第26回・問題93 ノーマライゼーションの理念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 すべての人間とすべての国とが達成すべき共通の基準を宣言した世界人権宣言の理念として採用された。 2...
過去一週間でよく読まれている記事
-
ホリスが提唱した「心理社会的アプローチ」は,「状況の中の人」という概念を用いて,クライエントの課題解決を図るものです。 その時に用いられるのがコミュニケーションです。 コミュニケーションを通してかかわっていくのが特徴です。 いかにも精神分析学に影響を受けている心理社会的ア...
-
イギリスCOSを起源とするケースワークは,アメリカで発展していきます。 1920年代にペンシルバニア州のミルフォードで,様々な団体が集まり,ケースワークについて毎年会議を行いました。この会議は通称「ミルフォード会議」と呼ばれます。 1929年に,会議のまとめとして「ミルフ...
-
バートレットは,ソーシャルワークの共通基盤として 「価値」「知識」「介入(技術)」 を挙げています。 ソーシャルワーカーなら,フィールドが違えど,共通してもっているもの,という意味です。 3 つの中のうち「 価値 」は,「相談援助の基盤と専門職」で中心的...
-
今回は,ソーシャルワークにおけるエンゲージメントを取り上げます。 第30回の国試で出題されるまでは,あまり知られていなかったものです。 エンゲージメントは,インテーク(受理面接)とほぼ同義語です。 それにもかかわらず,インテークのほかにエンゲージメントが使われるようになった理由は...
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
ノーマライゼーションとは,「ノーマル(普通)」の派生語で「ノーマル化する」という意味です。 「ノーマル化する」のは,障害者の生活です。 世界で最初にノーマライゼーションを提唱したのは,デンマークのバンク-ミケルセンです。 1950年代のデンマークでは,保護の名のもとに...
-
社会福祉士の国家試験には,何度か「PIE(Person-in-Environment)」というものが出題されています。しかし,これは何なのでしょうか。 ネットで調べても,ほとんどヒットしません。 目ぼしいものとしては,相川書房「PIEマニュアル 社会生活機能における問題を記述、分...
-
繰り返しになりますが,ソーシャルワークは欧米生まれです。 なじみのない外国語がたくさん使われますが,苦手だと思うととても損です。 さて,今日のテーマは「ジェネラリスト・アプローチとは何だろう?」です。 まずは前回の復習からです。 ソーシャルワークは,ケースワーク,...
-
国試での出題実績のあるアプローチは以下の12種類です。 出題基準に示されているもの ・心理社会的アプローチ ・機能的アプローチ ・問題解決アプローチ ・課題中心アプローチ ・危...
-
社会福祉士は,相談援助の専門職です。 心理職が行うカウンセリング技法は,ソーシャルワーク場面でも活用できます。 参考書には,たくさんの技法が書かれていますが,特に気をつけたいのは,感情の反映です。 感情の反映は,クライエントの発言の情緒的な面を言葉にして返す技法です。 事例問題が...