2020年3月29日日曜日

新カリキュラムの概要~⑮高齢者福祉

37回国試から新しいカリキュラムによる国家試験が実施されます。

今回は,「高齢者福祉」を取り上げます。

現在の「高齢者に対する支援と介護保険制度」から移行するものです。

高齢者福祉(30時間)
ねらい(目標)
①高齢者の定義と特性を踏まえ、高齢者とその家族の生活とこれを取り巻く社会環境について理解する。
②高齢者福祉の歴史と高齢者観の変遷、制度の発展過程について理解する。
③高齢者に対する法制度と支援の仕組みついて理解する。
④高齢期における生活課題を踏まえて、社会福祉士としての適切な支援のあり方を理解する。
教育に含むべき事項(内容)
教育に含むべき事項
想定される教育内容の例
①高齢者の定義と特性
1 高齢者の定義

2 高齢者の特性
・社会的理解、身体的理解、精神的理解
②高齢者の生活実態とこれを取り巻く社会環境
1 高齢者の生活実態
・住居
・所得
・世帯
・雇用、就労
・介護需要、介護予防
2 高齢者を取り巻く社会環境
・独居、老老介護、ダブルケア、8050問題
・高齢者虐待
・介護者の離職
③高齢者福祉の歴史
1 高齢者福祉の理念
・人権の尊重
・尊厳の保持
・老人福祉法、介護保険法における理念
2 高齢者観の変遷
・敬老思想、エイジズム、社会的弱者、アクティブエンジング
3 高齢者福祉制度の発展過程

④高齢者に対する法制度
1 介護保険法
・介護保険法と介護保険制度の概要
・介護報酬の概要
・介護保険制度における組織及び団体の役割
・保険者と被保険者、保険料
・要介護認定の仕組みとプロセス
・居宅サービス、施設サービスの種類
2 老人福祉法
・老人福祉法の概要
・老人福祉法に基づく措置
3 高齢者の医療の確保に関する法律
・高齢者の医療の確保に関する法律の概要
4 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)
・高齢者虐待防止法の概要
・高齢者虐待の未然防止
・通報義務、早期発見
5 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)
・バリアフリー法の概要
・施設設置管理者等の責務
6 高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)
・高齢者住まい法の概要
7 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)
・高齢者雇用安定法の概要
8 育児・介護休業法
・育児・介護休業法の概要
⑤高齢者と家族等の支援における関係機関と専門職の役割
1 高齢者と家族等の支援における関係機関の役割
・国、都道府県、市町村
・指定サービス事業者
・国民健康保険団体連合会
・地域包括支援センター
・ハローワーク、シルバー人材センター
2 関連する専門職等の役割
・介護福祉士、医師、看護師、理学療法士、作業療法士 等
・介護支援専門員、訪問介護員、介護職員、福祉用具専門相談員 等
・認知症サポーター、介護相談員
・家族、住民、ボランティア 等
⑥高齢者と家族等に対する支援の実際
1 高齢者領域における社会福祉士の役割
・高齢者、家族の就労に対する支援
2 高齢者と家族等に対する支援の実際(多職
種連携を含む)
・地域包括ケアシステムにおける認知症高齢者支援
・介護予防における支援



新しく加わっているのは,以下の部分です。


⑥高齢者と家族等に対する支援の実際
1 高齢者領域における社会福祉士の役割
・高齢者、家族の就労に対する支援
2 高齢者と家族等に対する支援の実際(多職
種連携を含む)
・地域包括ケアシステムにおける認知症高齢者支援
・介護予防における支援

家族支援の視点が加わっています。

第32回国試の「高齢者に対する支援と介護保険制度」では,この内容ではありませんが,以下のところから出題されています。

権利擁護を支える法制度
③権利擁護の意義と支える仕組み
6 意思決定支援ガイドライン
・障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン
・人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン
・認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

出題された問題は,これです。

第32回・問題127 高齢者等に関する近年の政策の動向についての次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年(平成28年)6月閣議決定)において,2025年度に向けて,高齢者の介護予防施策に関する成果と要介護認定者数の伸びの抑制についての数値目標が掲げられた。

2 「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」(2017年(平成29年)改訂(厚生労働省))の7つの柱において,若年性認知症の人の特性に配慮した就労・社会参加支援等の推進が掲げられた。

3 「高齢社会対策大網」(2018年(平成30年)2月閣議決定)において,高齢者の支援において新技術(人工知能や介護ロポット,情報通信技術など)を活用することは,人間的な温かさが乏しいため,避けることが望ましいという提言が行われた。

4 「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(2018年(平成30年)改訂(厚生労働省))では,本人の意思による積極的安楽死についての決定プロセスが規定された。

5 「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(2018年(平成30年)(厚生労働省))において,認知症の人の意思決定支援については,ケアを提供する専門職員や行政職員は関与しないことが規定された。


正解は,選択肢2です。

就労支援も絡めて,これが正解です。

着目したいのは,以下の部分です。

人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン

認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

これらは必ずこれから重要なものとなります。

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