第33回までの国家試験に出題された医療施設は,以下の5つです。
1.特定機能病院
2.地域医療支援病院
3.在宅療養支援病院・在宅療養支援診療所
4.かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所
5.在宅医療専門の診療所
1.特定機能病院 |
400床以上の病床を有し,高度な医療を提供できる医療機関です。承認するのは厚生労働大臣です。承認されているほとんどの医療機関は大学病院です。高度の医療に関する研修実施能力も必要です。 |
2.地域医療支援病院 |
200床以上の病床を有し,救急医療の提供,地域の中核病院として地域の医療従事者に対する研修能力,連携などを行います。承認するのは都道府県知事です。 |
3.在宅療養支援病院・在宅療養支援診療所 |
24時間の往診と訪問看護等の提供を行います。往診と訪問看護を担当する者は事前に患家に提示しておかなければなりません。訪問看護は必ずしも自ら提供しなければならないものではなく,訪問看護ステーション等との連携で実施する体制があることが承認要件です。そして忘れてはならないのは,緊急入院できる医療体制も要件の一つになっていることです。 |
4.かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所 |
平成28年の診療報酬改定によって新設されたもので,口腔機能の管理を実施します。長い名称なので,「か強診」と略されています。 |
5.在宅医療専門診療所 |
これも平成28年の診療報酬改定によって新設されたもので,訪問診療を専門に行います。外来診療ができる体制を有していることが原則ですが,ない場合はその地域の医療機関と連携し,外来診療できる体制が必要です。 |
それでは,今日の問題です。
第30回・問題72 医療施設に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 特定機能病院は,300床以上の病床を有し,かつ高度の医療を提供する病院である。
2 地域医療支援病院は,その所在地の市町村長の承認を得て救急医療を提供する病院である。
3 在宅療養支援病院は,在宅での療養を行う患者が緊急時を除いて入院できる病床を確保する病院である。
4 在宅療養支援診療所は,在宅医療を担当する常勤の医師を配置し,地域で在宅医療を提供する診療所である。
5 有床診療所は,地域の患者が48時間以内に退院できるように努める義務を負う診療所である。
特にしっかり押さえたいのは,特定機能病院と地域医療支援病院の違いです。
では解説です。
1 特定機能病院は,300床以上の病床を有し,かつ高度の医療を提供する病院である。
特定機能病院の承認要件は,400床以上です。
地域医療支援病院の承認要件は,200床以上です。
どちらも300という数字は出て来ません。
2 地域医療支援病院は,その所在地の市町村長の承認を得て救急医療を提供する病院である。
地域医療支援病院を承認するのは,都道府県知事です。
3 在宅療養支援病院は,在宅での療養を行う患者が緊急時を除いて入院できる病床を確保する病院である。
緊急時を除いたら,なんのための在宅療養支援なのか,意味がなくなります。
最も重要なのは緊急時です。
4 在宅療養支援診療所は,在宅医療を担当する常勤の医師を配置し,地域で在宅医療を提供する診療所である。
これが正解です。
5 有床診療所は,地域の患者が48時間以内に退院できるように努める義務を負う診療所である。
有床診療所は,19床以下の入院施設がある診療所です。