2021年6月9日水曜日

国民医療費の概況

国民医療費とは,当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものです。

 

国民医療費に含まれるもの

・医科診療や歯科診療にかかる診療費

・薬局調剤医療費

・入院時食事・生活医療費

・訪問看護医療費

国民医療費に含まれないもの

・評価療養(先進医療(高度医療を含む)等)

・選定療養(特別の病室への入院、歯科の金属材料等)

・不妊治療における生殖補助医療等に要した費用

・正常な妊娠・分娩に要する費用

・健康の維持・増進を目的とした健康診断

・予防接種等に要する費用

・固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等

 

国民医療費の傾向(平成30年)

国民医療費 約43兆円

一人当たり国民医療費 約34万円

対国内総生産比 約8%

対国民所得比 約11

財源別国民医療費

 公費 約40%(国庫約25%,地方約15%)

 保険料 約50

 その他 約10

診療種類別国民医療費

 医科診療医療費 約75

  入院医療費 約40

  入院外医療費 約35

 薬局調剤医療費 約15

 歯科診療医療費 約7%

 

これらをざっくり押さえたところで今日の問題です。

 

30回・問題70 2008年度(平成20年度)から2015年度(平成27年度)における日本の医療費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 国民医療費に占める後期高齢者医療費の割合は,増加している。

2 国民医療費の国民所得に占める比率は,減少している。

3 国民医療費に占める入院外医療費の割合は,増加している。

4 国民医療費の公費による財源別負担割合は,国庫の負担割合よりも地方の負担割合の方が高い。

5 国民医療費に占める薬局調剤医療費の割合は,入院外医療費の割合よりも高い。

 

ちょっと古い統計ですが,傾向はほとんど変わりません。

 

それでは解説です。

 

1 国民医療費に占める後期高齢者医療費の割合は,増加している。

 

これが正解です。あまりに当たり前のものが正解になっていて,拍子抜けした人もいるのではないかと思います。

 

しかし,国試は意外と素直なものです。

 

2 国民医療費の国民所得に占める比率は,減少している。

 

前年度よりも低下している年もありますが,推測どおりだと思いますが,増加しています。

 

3 国民医療費に占める入院外医療費の割合は,増加している。

 

入院外医療費の割合は,減少しています。

 

4 国民医療費の公費による財源別負担割合は,国庫の負担割合よりも地方の負担割合の方が高い。

 

国が約25%,地方が約15%です。

 

5 国民医療費に占める薬局調剤医療費の割合は,入院外医療費の割合よりも高い。

 

入院外医療費の割合のほうが高いです。

最新の記事

児童手当法と児童手当

  今回は児童手当法と児童手当を学びます。 児童手当法,児童扶養手当法,特別児童扶養手当法は,児童扶養手当法(1961年),特別児童扶養手当法(1964年),児童手当法(1971年)の順で成立していきました。 児童手当法の児童の定義は,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの...

過去一週間でよく読まれている記事