2021年6月14日月曜日

医療の安全の確保&医療事故調査・支援センター

医療法は,医療の安全の確保について規定しています。


病院等(病院、診療所又は助産所)の管理者は,医療事故が発生した場合には、速やかに医療事故調査を行わなければなりません。


医療事故調査の終了後は,その結果を医療事故調査・支援センターに報告しなければなりません。


それでは今日の問題です。


第30回・問題74 医療法の内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 病院又は診療所の管理者は,入院時の治療計画の書面の作成及び交付を口頭での説明に代えることができる。

2 市町村は,地域における現在の医療提供体制の把握と将来の医療需要の推計を勘案し,地域医療構想を策定することができる。

3 病床機能報告制度に規定された病床の機能は,急性期機能,回復期機能,慢性期機能の三つである。

4 一般病床,療養病床を有する病院又は診療所の管理者は,2年に1度,病床機能を報告しなければならない。

5 病院,診療所又は助産所の管理者は,医療事故が発生した場合には,医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。


この問題は,かなり難易度が高いと思います。


前説で答えはわかるかと思いますが,この時点では極めて難しかったのではないかと思います。


正解は,多くの方の予想通り,選択肢5です。

5 病院,診療所又は助産所の管理者は,医療事故が発生した場合には,医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。


ところで,医療事故調査・支援センターが創設されたのは,2014(平成26)年の医療法の改正です。


法が施行されたのは,2015(平成27)年4月です。


この問題が出題されたのは,2018(平成30)年2月です。


制度ができてしばらくしてからです。


ここで多くの人に伝えたいのは,新しくできた制度や改正されたばかりの制度がすぐ出題されるのは極めてまれなことであるということです。


新しい制度はすぐ出題されないのが社会福祉士の国試の特徴だと言えます。

変わったところは,出ないと考えてもよいくらいです。覚えておきましょう。


それでは,ほかの選択肢も解説します。


1 病院又は診療所の管理者は,入院時の治療計画の書面の作成及び交付を口頭での説明に代えることができる。


入院時の治療計画は,作成及び交付の義務があります。ただし,患者が短期間で退院することが見込まれる場合の作成は免除されています。


利用者側の権利として,生活保護制度などのように文書でなく口頭で申請することができる制度もありますが,その逆は考えられないと言えるでしょう。


2 市町村は,地域における現在の医療提供体制の把握と将来の医療需要の推計を勘案し,地域医療構想を策定することができる。


地域医療構想は,医療計画の中で策定するものです。


医療計画を策定するのは,都道府県です。つまり地域医療構想を策定するのは都道府県だということになります。


3 病床機能報告制度に規定された病床の機能は,急性期機能,回復期機能,慢性期機能の三つである。


病床機能報告制度は,2014(平成26)年の医療法の改正によって創設されたものです。


 病床機能報告制度に規定された病床の機能は,「高度急性期機能」「急性期機能」「回復期機能」「慢性期機能」の4つです。


4 一般病床,療養病床を有する病院又は診療所の管理者は,2年に1度,病床機能を報告しなければならない。


一般病床,療養病床を有する病院又は診療所の管理者は,「高度急性期機能」「急性期機能」「回復期機能」「慢性期機能」の4つから選んで,都道府県に報告します。


報告頻度は,1年に1度です。


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