今回は,生活困窮者自立支援法を取り上げたいと思います。
重要な制度ですが,覚えるポイントは少ないのできっちり押さえましょう。
目的 |
生活困窮者の自立支援体制を構築と自立促進 |
実施主体 |
福祉事務所を設置する自治体 |
必須事業 |
〈自立相談支援事業〉 生活困窮者等からの相談を受けて,自立プランの作成支援等。 〈住居確保給付金の支給〉 離職などにより住居を失った者などに対する一定期間の家賃相当額の支給。 |
・就労準備支援事業 ・一時生活支援事業 ・家計改善支援事業 ・学習支援事業 その他 |
国庫負担率 |
4分の3 |
それでは,今日の問題です。
第30回・問題63 生活困窮者自立支援法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 住居の確保を目的とした給付金を支給する制度が設けられている。
2 一時生活支援事業とは,住居を有する生活困窮者に対して食事の提供を行う事業である。
3 自立相談支援事業は,相談支援を通して生活困窮者に就職のあっせんを行う事業である。
4 就労準備支援事業は,3年を限度として訓練を提供する事業である。
5 家計相談支援事業は,生活困窮者の家計に関する問題につき生活困窮者からの相談に応じ,必要な資金の貸付けをする事業である。
事業がたくさんあって覚えるのが大変だと思うかもしれませんが,重要なのは必須事業です。
そういったことを考えながら解くと精度が上がります。
それでは解説です。
1 住居の確保を目的とした給付金を支給する制度が設けられている。
これが正解です。
必須事業である「住居確保給付金の支給」が正解になっています。
2 一時生活支援事業とは,住居を有する生活困窮者に対して食事の提供を行う事業である。
一時生活支援事業は,「住居を有しない」生活困窮者に対して食事の提供を行う事業です。
正解がわかると,「住居を有する」というのは,「住居を有しない」よりもおかしな感じがしませんか?
「住居を有する人」を対象にするなら「住居を有しない人」に対しては,どんな制度があるのだろうと疑問がわいてきます。
一時生活支援事業は,ホームレスを対象とした事業なのです。
3 自立相談支援事業は,相談支援を通して生活困窮者に就職のあっせんを行う事業である。
自立相談支援事業では,就職のあっせんは行いません。
ここが法制度の特徴です。
何かというと,法制度は重ならないように作られるということです。
別な言い方をすれば,既存のもので対応できないことを新しい法制度を作って対応します。
就職のあっせんは,ハローワークが行いますね。それなのに別な制度は作らないということです。
4 就労準備支援事業は,3年を限度として訓練を提供する事業である。
就労準備支援事業を知らなくても,訓練を行うのに3年は長すぎると思う感性が必要です。
そんなに時間はかけません。正しくは1年です。
このように聞くと納得しませんか?
5 家計相談支援事業は,生活困窮者の家計に関する問題につき生活困窮者からの相談に応じ,必要な資金の貸付けをする事業である。
この時は,「家計相談支援事業」と出題されていますが,その後,法改正があり,現在は,「家計改善支援事業」となっています。
もし,この時から現在の名称なら,この選択肢は別の内容になっていたでしょう。
これも選択肢4と同じです。
貸付けは,生活福祉資金貸付事業があります。
制度が重なる制度は作りません。それが法制度です。