成年後見制度が2000(平成12)年に発足以来,裁判所では「成年後見関係事件の概況」を公表しています。
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/kouken/index.html
〈主な内容〉 データは令和2年版のもの
1 過去5年における申立件数の推移 平成28年 34,249件 平成29年 35,737件 平成30年 36,549件 令和元年 35,959件 令和2年 37,235件 ※最も多いのは後見開始。任意後見監督人選任は1,000件に満たない。
2 終局区分別件数 認容 95.5% 却下 0.3%
3 審理期間別の割合 2か月以内に終局したもの 70.1% 4か月以内に終局したもの 92.4% 4 申立人と本人との関係別件数・割合 親族 52.8% 親族以外 27.0% ※本人20.2% 多い順 ①市区町村長 ②子 ③本人
5 本人の男女別・年齢別割合 (男女別)男性 43.4% 女性 56.6% (年齢別) 男性 70歳代 27.6% 80歳以上 34.4% 女性 70歳代 19.7% 80歳以上 63.0% 男女ともに80歳以上が最も多い。
6 開始原因別割合 多い順 ①認知症 ②知的障害 ③統合失調症
7 主な申立ての動機別件数・割合 多い順 ①預貯金等の管理・解約 ②身上保護 ③介護保険契約
8 鑑定期間別割合 鑑定したもの 全体の6.1% 1か月以内 56.1% 1か月超え~2か月以内 33.2%
9 鑑定費用別割合 5万円以下 53.9% 5万円超え10万円以内 39.3%
10 成年後見人等と本人との関係別件数・割合 親族 19.7% (内訳) 子(54.0%) 兄弟姉妹(14.0%) その他親族(17.0%) 配偶者(7.8%) 親(7.1%) 親族以外 80.3% (内訳) 司法書士(37.9%) 弁護士(26.2%) 社会福祉士(18.4%)
11 成年後見制度の利用者数の推移 平成28年末 203,551人 平成29年末 210,290人 平成30年末 218,142人 令和元年末 224,442人 令和2年末 232,287人
|
令和2年の特徴は
市区町村長の申立てが近年多くなってきていましたが,この年に初めて最も多くなったことです。
これ以外は,近年の傾向ほぼ変わっていません。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題81 「成年後見関係事件の概況(平成28年1月~12月)」(最高裁判所事務総局家庭局)に示された,成年後見制度の最近の動向に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 「成年後見制度の利用者」は,約20万人である。
2 「成年後見関係事件」の申立件数は,約10万件である。
3 「成年後見人等」と本人との関係をみると,親族が「成年後見人等」に選任されたものが全体の約60%ある。
4 「成年後見関係事件」の「終局事件」のうち,鑑定を実施したものは,全体の約半数であった。
5 成年後見開始の申立ての動機としては,介護保険契約締結のためが最も多い。
答えはすぐわかると思いますが,解説します。
1 「成年後見制度の利用者」は,約20万人である。
これが正解です。この年の利用者数は,203,551人でした。
この年に20万人を超えています。
2 「成年後見関係事件」の申立件数は,約10万件である。
この年の申立件数は,37,235件でした。
3 「成年後見人等」と本人との関係をみると,親族が「成年後見人等」に選任されたものが全体の約60%ある。
この年は,親族28.1% 親族以外71.9%でした。
4 「成年後見関係事件」の「終局事件」のうち,鑑定を実施したものは,全体の約半数であった。
実際に鑑定したのは,この年は9.2%でした。
5 成年後見開始の申立ての動機としては,介護保険契約締結のためが最も多い。
最も多いのは,「預貯金等の管理・解約」です。