自立支援プログラムとは
生活保護受給者への就労支援であり,福祉事務所が事前に類型化した自立支援プログラムを実施する人を選んで,本人の同意を得て実施するものです。
社会福祉士が忘れてならないもの
https://fukufuku21.blogspot.com/2017/06/blog-post_29.html
ここでは,以下のように書きました。
自立支援プログラムは,第23・24・25・26回と出題されていますが,その後,第27・28・29回は出題されていません。 こんなパターンを示すものはとても珍しいものです。 自立支援プログラムは,モデル事業を経て2005年から始まったものです。 第23回国試は,2011年に実施されたものなので,導入6年後から,4回かけて国試に出題することで国民に周知したと言えます。 |
その後に出題されたのが,今回取り上げる問題です。
自立支援プログラムの問題はとても簡単なので,ひねって出題しています。
しかし,結局簡単です。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題68 生活保護の自立支援プログラムの「基本方針」に示される内容に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 各自治体の地域の実情に応じて設定されるものではない。
2 民間事業者等への外部委託は想定されていない。
3 組織的支援ではなく,現業員の個人の努力や経験により支援を行うことにしている。
4 就労による経済的自立のみならず,日常生活自立,社会生活自立など多様な課題に対応するものである。
5 被保護世帯の自立阻害要因の把握は求められていない。
(注) 「基本方針」とは,「平成17年度における自立支援プログラムの基本方針について」(平成17年3月31日社援発第0331003号厚生労働省社会・援護局長通知)のことである。
平成17年度における自立支援プログラムの基本方針について
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2918&dataType=1&pageNo=1
こんなものを知らなくても,正解できます。
1 各自治体の地域の実情に応じて設定されるものではない。
2 民間事業者等への外部委託は想定されていない。
5 被保護世帯の自立阻害要因の把握は求められていない。
これらは,内容を知らなくても正解だと思う人はいないでしょう。
なぜこのようなものになったのかを解き明かせば,正しい文章を否定形に変えたものだからです。
もともとの文章は,以下のようになります。
1 各自治体の地域の実情に応じて設定される。
2 民間事業者等への外部委託は想定されている。
5 被保護世帯の自立阻害要因の把握は求められている。
3 組織的支援ではなく,現業員の個人の努力や経験により支援を行うことにしている。
これもあり得ないでしょう。
個人の努力や経験を今さらフィーチャーする必然性はまったく感じられません。
正解は
4 就労による経済的自立のみならず,日常生活自立,社会生活自立など多様な課題に対応するものである。
この問題で覚えておきたいのは,
自立支援プログラムの自立とは,
「経済的自立」「日常生活自立」「社会生活自立」です。
生活保護における自立は,経済的自立というイメージが強いかもしれませんが,決してそういうことではないということです。
被保護世帯の7割は,被稼働世帯です。
被稼働世帯の5割は,高齢者世帯です。
稼働による経済的自立を望むのはかなり厳しいです。
働けるのに働かないで生活保護を受給している人が多いというのは,誤った認識です。
不正受給は排除されなければなりません。
しかし,生活保護受給者の多くは,稼働することができない人です。
経済的自立は望めなくても,日常生活自立,社会生活自立は可能です。それも自立です。