2021年6月4日金曜日

生活保護法~原理・原則

今回は,生活保護法の原理・原則を取り上げます。

 

今まで何度も取り上げてきたとおり,出題頻度はかなり高いものです。

 

基本原理

国家責任の原理
無差別平等の原理
最低生活の原理
保護の補足性の原理



基本原則
申請保護の原則
基準及び程度の原則
必要即応の原則
世帯単位の原則

 

 

言葉は難しいですが,しっかり押さえて得点したいです。

 

まずは,以下の過去記事を押さえましょう。

 

生活保護の原理・原則~その1

https://fukufuku21.blogspot.com/2018/09/1_9.html

 

それでは,今日の問題です。

 

30回・問題65 現行の生活保護法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 保護は,個人を単位として行われるが,特別の場合には世帯を単位として行うこともできる。

2 補足性の原理により,素行不良な者は保護の受給資格を欠くとされている。

3 保護の基準は,国会の審議を経て,法律で定めることとなっている。

4 「要保護者」とは,現に保護を受けている者と定義されている。

5 最低限度の生活を保障するとともに,自立を助長することを目的としている。

 

この問題の正解は,かなりわかりやすいものです。

そのために難易度はそれほど高くはないでしょう。

 

こういったところに,第30回の国家試験のいわゆるボーダーラインが99点となった理由があるように思います。

 

それでは,解説です。

 

1 保護は,個人を単位として行われるが,特別の場合には世帯を単位として行うこともできる。

 

「世帯単位の原則」です。

 

保護の基本は,世帯単位です。

 

特別な場合に,個人を単位として保護を行うことができます。

 

2 補足性の原理により,素行不良な者は保護の受給資格を欠くとされている。

 

補足性の原理

保護は,生活に困窮する者が,その利用し得る資産,能力その他あらゆるものを,その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。

2 民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は,すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。

3 前二項の規定は,急迫した事由がある場合に,必要な保護を行うことを妨げるものではない。

 

重要なのは,「無差別平等の原理」です。

 

素行不良な者は保護の受給資格を欠くなら,無差別平等の原理に反してしまいます。

 

無差別平等は「原理」なので,例外はありません。無差別平等はとことん無差別平等です。

 

3 保護の基準は,国会の審議を経て,法律で定めることとなっている。

 

「基準及び程度の原則」です。

 

保護の基準は,厚生労働大臣が定めます。

 

4 「要保護者」とは,現に保護を受けている者と定義されている。

 

要保護者は,現に保護を受けているといないとにかかわらず,保護を必要とする状態にある者をいいます。

 

5 最低限度の生活を保障するとともに,自立を助長することを目的としている。

 

これが正解です。

 

生活保護の目的は「最低限度の生活保障」&「自立の助長」です。

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