制度系ではない事例問題は,知識の有無は問われません。
そのため,勉強不足の人でも正解することができます。
つまりこういった問題をミスすることは,命取りになります。
事例問題で気をつけなければならないは,設定されている条件を忘れないことです。
今日の問題で設定されている条件は「多職種連携」です。
今日の問題はそれほど難しくないので,これを必ずしも意識せずとも正解できますが,確実性を高めるためには,ぜひそこを意識して問題を読んでみてください。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題67 事例を読んで,生活保護制度における多職種連携に関する次の記述のうち保護の実施機関の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Hさんは夫との婚姻後,暴力を振るわれるようになった。長男(2歳)も夫から虐待を受けるようになったので,長男を連れて別居生活を始めたHさんは生活に困窮し,生活保護を申請した。なお,Hさんの離婚の意思は固いが,夫は離婚に同意せず子どもとの面会を希望している。
1 生活保護を受けるためには,母子生活支援施設へ入所しなければならないと説明した。
2 配偶者暴力相談支援センターに連絡し,援助を依頼した。
3 母子休養ホームに連絡し,長男の一時保護を行うよう依頼した。
4 家庭裁判所に対して離婚の訴えを提起した。
5 家庭裁判所に対して,Hさんと夫との養育費の支払についての話合いの機会を設定するよう求めた。
すべての選択肢に専門機関が含まれていますが,多職種連携とは言えないものもあります。
<多職種連携とは言えないもの>
4 家庭裁判所に対して離婚の訴えを提起した。
5 家庭裁判所に対して,Hさんと夫との養育費の支払についての話合いの機会を設定するよう求めた。
選択肢1は,多職種連携とか言う前に,制度的に誤りがあります。
選択肢4と5は,下世話な話です。友人からの相談ではありません。
正解は,選択肢3です。
2 配偶者暴力相談支援センターに連絡し,援助を依頼した。
これが正解だとわかると,正解に見えるのはこれしかないはずです。
3 母子休養ホームに連絡し,長男の一時保護を行うよう依頼した。
一時保護を行う機能があるかどうかを別にして,一時保護を前提に依頼は不適切です。
判断するのは,その機関です。
母子休養ホームは,ひとり親家庭を対象としたレクリエーション施設です。一時保護の機能はもちません。
多くの場合,保養施設が母子・父子休養ホームを兼ねているので,施設の存在自体を知らない人が多いのではないでしょうか。