2021年6月28日月曜日

横断調査と縦断調査

 今回は,横断調査と縦断調査を取り上げます。

 

横断調査

 ある時点で行う調査。

縦断調査

 一定の期間を開けて,複数回行う調査。

 同じ対象者(パネル)に対して複数回行うパネル調査は縦断調査の一つ。

 

 

それでは,今日の問題です。

 

30回・問題87 横断調査と縦断調査に関する次の記述.のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 トレンド調査とは,同一対象者を継時的に追跡することを通じて,調査対象者の変化を知ろうとする調査法である。

2 同じ調査票を用いて,4月にR市,5月にS市で調査を行えば,縦断調査といえる。

3 パネル調査では,調査の回数を重ねるにつれてサンプル数が増加する。

4 横断調査は,ある一時点での特定の市で実施する市民意識調査は含まれない。

5 横断調査では,因果関係を特定するに当たり制約が伴う。

 

結構難しい問題です。

 

応用力が必要な問題かもしれません。

 

それでは,解説です。

 

1 トレンド調査とは,同一対象者を継時的に追跡することを通じて,調査対象者の変化を知ろうとする調査法である。

 

同一対象者を継時的に追跡することを通じて,調査対象者の変化を知ろうとする調査法は,パネル調査です。

 

トレンド調査も縦断調査の一つですが,パネル調査と異なる点は,調査対象者は,同じ定義にあてはまる人であることです。

 

2 同じ調査票を用いて,4月にR市,5月にS市で調査を行えば,縦断調査といえる。

 

R市,S市を対象として調査を行っていますが,それぞれ一回きりの調査なので,横断調査です。

 

3 パネル調査では,調査の回数を重ねるにつれてサンプル数が増加する。

 

パネル調査は,同じ人に対して,経時的に調査を行うため,調査対象者の都合によって,2回目,3回目と人数が減っていきます。

 

減らないこともあるかもしれませんが,少なくとも増加するということはありません。

 

調査の回数を重ねるにつれてサンプル数が減少することは,パネルの摩耗,あるいはパネルの脱落といいます。

 

4 横断調査は,ある一時点での特定の市で実施する市民意識調査は含まれない。

 

1回きりの調査は,横断調査です。

 

市民意識調査を複数回行うと縦断調査となります。

 

5 横断調査では,因果関係を特定するに当たり制約が伴う。

 

これが正解です。

 

因果関係とは,原因と結果につながりがあることをいいます。

 

たとえば,「学習部屋」の有効性について調べたいとします。

 

学習部屋に毎日訪れている人を対象にして,複数の模試を受験した結果を調査します。

 

1回きりでは,対象者の成績が伸びたのかを検証するのは難しいと言えます。

 

間を空けて模試を受験してもらって,成績を比較します。

 

点数が伸びていれば,「学習部屋」は,学力を伸ばすのに有効だったという結論が導き出せそうです。

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