2021年6月8日火曜日

公営住宅について

公営住宅とは,公営住宅法が規定する住宅に困窮する低額所得者に対して,地方公共団体が低廉な家賃で賃貸・転貸する住宅のことです。

 

民間の賃貸住宅と異なるのは,入居するには収入の基準があることです。

その代わり,家賃や敷金の減免などがあります。

 

そのほかにも入居者には以下のような義務があります。

 

入居者の保管義務等

第二十七条 公営住宅の入居者は、当該公営住宅又は共同施設について必要な注意を払い、これらを正常な状態において維持しなければならない。

2 公営住宅の入居者は、当該公営住宅を他の者に貸し、又はその入居の権利を他の者に譲渡してはならない。

3 公営住宅の入居者は、当該公営住宅の用途を変更してはならない。ただし、事業主体の承認を得たときは、他の用途に併用することができる。

4 公営住宅の入居者は、当該公営住宅を模様替し、又は増築してはならない。ただし、事業主体の承認を得たときは、この限りでない。

5 公営住宅の入居者は、当該公営住宅の入居の際に同居した親族(婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者その他婚姻の予約者を含む。)以外の者を同居させようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、事業主体の承認を得なければならない。

6 公営住宅の入居者が死亡し、又は退去した場合において、その死亡時又は退去時に当該入居者と同居していた者は、国土交通省令で定めるところにより、事業主体の承認を受けて、引き続き、当該公営住宅に居住することができる。

 

 それでは,今日の問題です。

 

30回・問題69 事例を読んで,公営住宅の居住に関する市の総合相談窓口の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

Jさん(51)は,30年間P市の市営住宅(4)で引籠もりの状態が続いており,生活費は同居の母親(82)に頼っている。最近,母親が病気になり,Jさんは将来の生活費と住まいが心配になったので,P市の総合相談窓口で生活保護と市営住宅について相談した。

1 母親が歩行困難になり,同じ市営住宅の1階に転居する必要が生じても,敷金は減免されないと説明した。

2 Jさんが働いて少しでも収入を得るようになったら,市営住宅から退去しなければならないと説明した。

3 Jさんが生活保護を受けた場合,市営住宅から退去しなければならないと説明した。

4 市営住宅入居時に決定された家賃は,退去まで変わることがないと説明した。

5 入居契約をしている母親が亡くなった場合,P市の承認を受けて市営住宅に住み続けることができると説明した。

 

 

公営住宅という制度の性格を考えた場合,内容がわからなくても正解できる問題です。

 

そういった意味では,問題のつくり方が下手だと言えるでしょう。

こんなところが今までにないボーダーライン99点ということになったように思います。

 

正解は,選択肢5です。

 

5 入居契約をしている母親が亡くなった場合,P市の承認を受けて市営住宅に住み続けることができると説明した。

 

入居者の保管義務等にあるように,承認を受けることで住み続けることができます。

 

この選択肢のみが低所得者に配慮した内容になっていることに気がつきますか?

 

1 母親が歩行困難になり,同じ市営住宅の1階に転居する必要が生じても,敷金は減免されないと説明した。

2 Jさんが働いて少しでも収入を得るようになったら,市営住宅から退去しなければならないと説明した。

3 Jさんが生活保護を受けた場合,市営住宅から退去しなければならないと説明した。

4 市営住宅入居時に決定された家賃は,退去まで変わることがないと説明した。

 

選択肢5とは明らかに内容が異なります。

 

1 母親が歩行困難になり,同じ市営住宅の1階に転居する必要が生じても,敷金は減免されないと説明した。

 

公営住宅には敷金の減免制度があります。

 

2 Jさんが働いて少しでも収入を得るようになったら,市営住宅から退去しなければならないと説明した。

 

収入があっても,規定の収入内なら入居し続けることができます。

 

3 Jさんが生活保護を受けた場合,市営住宅から退去しなければならないと説明した。

 

生活保護を受けていても利用することができます。

 

4 市営住宅入居時に決定された家賃は,退去まで変わることがないと説明した。

 

家賃は収入によって変わります。

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