医療ソーシャルワーカーの活動は,診療報酬で加算として評価されるものもあります。
その算定要件には,社会福祉士であることがあります。
そのために医療ソーシャルワーカーを目指すなら,社会福祉士を取得することは必須条件と言ってもよいでしょう。
しかし,このような時代になったのは,社会福祉士の資格ができてしばらくたった1990年代後半以降のことです。
さらに加算がついたのは,2008(平成20)年の「退院調整加算」「後期高齢者退院調整加算」が初めてのことでした。
そういった時代を経て,社会福祉士が学ぶ科目にようやく保健医療サービスが加わったのです。
当初は,出題内容が定まっておらず,とても難しい内容でしたが,回を重ねるうちに安定してきています。
それでは,安定してきた時代に出題された問題を紹介します。
第30回・問題73 医療提供体制に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保険薬局は,居宅における医学的管理,指導を行う。
2 かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所は,口腔機能の管理を行う。
3 在宅医療専門の診療所は,訪問診療に特化しているため,外来応需体制を有していなくてもよい。
4 有料老人ホームは,公的医療保険における在宅医療の適用外となっている。
5 介護老人保健施設の理学療法士は,医師の指示がなくてもリハビリテーションの実施が認められている。
正解は,選択肢2です。
2 かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所は,口腔機能の管理を行う。
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所は,このときしか出題されたことがないものです。
おそらくそれからも出題されることはないように思います。
しかし,一度出題することで,参考書などに記載されることになるので,今後社会福祉士を目指す人は,必ず勉強することになります。
これがとても意味のあるものです。
それでは,ほかの選択肢も確認します。
1 保険薬局は,居宅における医学的管理,指導を行う。
医学的管理とは,医師が行うものです。
保険薬局は,医師の処方箋によって,薬剤の処方を行います。
医学的管理下の業務を行うことはあっても,医学的管理そのものは行うことはありません。
3 在宅医療専門の診療所は,訪問診療に特化しているため,外来応需体制を有していなくてもよい。
在宅医療専門の診療所は,あまり聞いたことがない人も多いのではないでしょうか。
この名称通り,在宅医療を専門に行う診療所です。
外来診療は含まないのは保健医療機関としての開放性に課題を残すことになることから,制度を創設した際,外来応需体制を要件に加えたのです。
4 有料老人ホームは,公的医療保険における在宅医療の適用外となっている。
在宅医療とは,医師が居宅等に訪問して診療を行うものです。
特別養護老人ホームなどは,医療の提供体制をもつために在宅医療の適用外となりますが,有料老人ホームは,医療の提供体制をもたないために在宅医療の適用となります。
5 介護老人保健施設の理学療法士は,医師の指示がなくてもリハビリテーションの実施が認められている。
理学療法士が行う理学療法は,診療の補助として,医師の指示に基づいて実施します。