2021年10月14日木曜日

インボランタリークライエントへの対応

援助を求めないインボランタリークライエントに対して,どのように対応するか,とても難しい局面です。


しかし,事例の多くは,初期場面であり,具体的な援助方法を考える前の段階です。


それを忘れてはなりません。


それでは,今日の問題です。


第22回・問題40 事例を読んで,社会福祉士の行動に関する次の記述のうち,最も適切なものを一つ選びなさい

〔事 例〕

 Aさん(80歳)は身体が不自由で引きこもりがちな一人暮らしであるが,介護保険の利用を拒否していた。Aさんの家屋はごみであふれ返っており,近隣住民は迷惑がっていた。そのことを心配していた近隣住民の一人が,社会福祉協議会の職員(社会福祉士)に相談した。社会福祉士は解決に向けて行動を起こした。

1 その近隣住民に,近所で話し合って,ごみを処理するよう依頼した。 

2 近隣の不安や迷惑を考慮して,Aさんに対して早い時期に引っ越しをあっせんすることにした。 

3 専門職で組織される地域ケア会議において,Aさんの円滑な施設入所支援の方針を提案した。

4 Aさんの家屋のごみ回収について,社会福祉協議会として近隣住民や民生委員,役所などと協力して対応することにした。

5 Aさんが要介護認定を拒否したことから,地域包括支援センターへの連絡はしばらく見合わせることにした。


インボランタリークライエントに対しては,見守り体制をつくることが正解になることがよく見られます。


見守りは,何もしないことのように思うかもしれません。



しかし,実際には,ネットワーキングが行われています。見守りは,何もしないことだと思うのは,現場を知らない人です。


何もしない,というのは,選択肢5のようなことをいいます。


この問題の正解は,選択肢4です。


4 Aさんの家屋のごみ回収について,社会福祉協議会として近隣住民や民生委員,役所などと協力して対応することにした。


協力して対応する,という表現の裏には,ネットワーキングがあります。


ネットワーキングは,ソーシャルワークの重要な機能の一つです。


連携のプロである社会福祉士の腕の見せ所だと言えるでしょう。


ほかの選択肢は解説しません。

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