2021年10月26日火曜日

主要各国の社会保障制度~特に医療保障制度の比較

国際比較で出題されるのは

・アメリカ

・イギリス

・フランス

・ドイツ

・スウェーデン

・日本


の6か国です。


それぞれに特徴がありますが,特徴が出やすいのは,医療保障制度です。


イギリス,スウェーデンのように,社会保険制度を取らず税財源で運営されている。

アメリカのように,公的な医療保障制度よりも民間保険が充実している。

ドイツ,フランス,日本のように社会保険制度で運営されている。


といった感じです。


さて,今日の問題は,出題当時,不適切問題となったものです。


第22回・問題55 日本,フランス,ドイツ,イギリス,アメリカ,スウェーデンにおける社会保障制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 国民皆年金政策をとっているのは,日本とドイツである。

2 アメリカは,低所得者・高齢者を対象とした公的医療保障制度しかもっていない。

3 財源を租税とする医療保障制度をもっているのは,フランスとスウェーデンである。

4 GDP(国内総生産)に占める家族関係社会支出の割合が最も高いのは,アメリカである。

5 GDP(国内総生産)に占める私的医療費の割合が最も高いのは,日本である。


この問題が不適切問題となったのは,本当は選択肢2を正解にする予定だったものが,不正確なものになったからです。


アメリカの公的医療保障制度は,


低所得者を対象とするメディケイド

高齢者・障害者等を対象とするメディケア


で運営されています。


つまり,大多数を占める一般の人をカバーする公的医療保障制度は持ちません。


そのため,個別に民間医療保険に加入しています。


それでは,ほかの選択肢も確認します。


1 国民皆年金政策をとっているのは,日本とドイツである。


日本は,皆保険ですが,ドイツは皆保険ではありません。


3 財源を租税とする医療保障制度をもっているのは,フランスとスウェーデンである。


スウェーデンは,税財源で運営されていますが,フランスは社会保険で運営されます。


4 GDP(国内総生産)に占める家族関係社会支出の割合が最も高いのは,アメリカである。


アメリカは,主要各国の中では,最も低い水準になります。


アメリカが取っている政策は,基本的には,自助,それでどうしてもだめな場合は,公助というスタイルを取ります。


そのために,家族だけではなく,社会支出は最も低い国であることが特徴です。


5 GDP(国内総生産)に占める私的医療費の割合が最も高いのは,日本である。


私的医療費が最も高いのは,公的医療保障が充実していないアメリカです。


今日のような問題は,考えて答えを出さなければなりません。

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