地方公共団体の歳入を覚えたいと思います。
最も大きいのは,地方税で約40%を占めています。
そのほかには,国から地方交付税と国庫支出金を受けています。
この2つを足しても30%程度なので,地方税のほうが多いことになります。
この3つを使途の視点で整理すると以下のようになります。
使途が自由な財源 |
地方税 地方交付税 |
使途が特定されている財源 |
国庫支出金 |
使途が特定されている財源とは,介護保険の国の負担などの意味です。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題43 地方財政制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地方交付税は,地方公共団体間の財政力の不均衡を是正することを主な目的として,国から地方公共団体に対し,使途を特定して交付されるものである。
2 地方公共団体の会計には一般会計と特別会計があり,介護保険と国民健康保険に関しては,一般の歳入・歳出と区分するため,それぞれ特別会計が設けられている。
3 市町村が実施する社会福祉事業に必要な軽費について,国・都道府県・市町村が負担する割合は,社会福祉法において,原則として2:1:1と定められている。
4 「三位一体の改革」において,地方公共団体の財政力を強化するため,国庫補助負担金の大幅な拡充が行われた。
5 「地方財政健全化法」に基づき財政健全化計画が定められた地方公共団体は,法律上設置が義務づけられていない公の施設を閉鎖しなければならないものとされている。
(注)1 「三位一体の改革」とは,「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」(いわゆる「骨太の方針2003」,平成15年6月27日閣議決定)などに基づいて行われた一連の地方財政改革をいう。
2 「地方財政健全化法」とは,「地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号)」のことである。
知識が不足していると焦ってしまいそうな問題ですが,答えはそれほど難しくはありません。
正解は,選択肢2です。
2 地方公共団体の会計には一般会計と特別会計があり,介護保険と国民健康保険に関しては,一般の歳入・歳出と区分するため,それぞれ特別会計が設けられている。
特別会計を設けなければならないものは,数多くありますが,社会福祉士の国家試験で出題されるのは,介護保険特別会計と国民健康保険特別会計の2つです。
それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。
1 地方交付税は,地方公共団体間の財政力の不均衡を是正することを主な目的として,国から地方公共団体に対し,使途を特定して交付されるものである。
地方交付税は,使途が自由な財源です。
使途が特定されている財源は,国庫支出金です。
3 市町村が実施する社会福祉事業に必要な軽費について,国・都道府県・市町村が負担する割合は,社会福祉法において,原則として2:1:1と定められている。
このような規定はありません。
しかも負担割合は,それぞれの社会福祉事業によって異なります。
例えば,第一種社会福祉事業でも,生活保護法の保護施設の場合は,国は7割も負担していますが,そのほかの第一種社会福祉事業の多くは,5割です。
4 「三位一体の改革」において,地方公共団体の財政力を強化するため,国庫補助負担金の大幅な拡充が行われた。
三位一体改革は,今となっては古いですが,この改革によって,財源を地方に移して,国庫支出金を削減しています。
5 「地方財政健全化法」に基づき財政健全化計画が定められた地方公共団体は,法律上設置が義務づけられていない公の施設を閉鎖しなければならないものとされている。
このような規定はありません。
再建するための方法は,地方がそれぞれ考えます。それを国を支援することになります。