我が国の5つある社会保険制度のうち,最も複雑な制度は年金保険制度です。
もともとあった制度を生かして,国民皆年金の制度にしたからです。
1階部分が国民年金(基礎年金)
2階部分が厚生年金
かつては,2階部分に共済年金がありましたが,現在は厚生年金に一元化されています。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題52 年金制度に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 国民年金の第3号被保険者は,第2号被保険者に扶養されている妻のための制度であり,夫は対象とならない。
2 国民年金の第1号被保険者は農業者,自営業者のための制度であり,被用者は加入することができない。
3 厚生年金と共済年金の一元化を図るための法案が,2007(平成19)年の通常国会に提出されていた。
4 共済年金は公務員のためだけの制度である。
5 国民年金の第1号被保険者の保険料は,労働者の場合は報酬比例である。
現在見ると,この問題はおかしなものとなっています。
正解は,選択肢3
3 厚生年金と共済年金の一元化を図るための法案が,2007(平成19)年の通常国会に提出されていた。
今は,既に一元化されているので,わざわざ廃案になった法案を出題する必要がないからです。
しかし,歴史的にみると貴重なものでしょう。
一元化は,すぐできたことがわかるからです。
あと,意味がないのは,選択肢4です。
4 共済年金は公務員のためだけの制度である。
共済は,公務員が中心でしたが,私学共済というものもありました。
それでは,このほかの選択肢も見ていきましょう。
1 国民年金の第3号被保険者は,第2号被保険者に扶養されている妻のための制度であり,夫は対象とならない。
国民年金の第2号被保険者とは,厚生年金加入者です。
第3号被保険者は,第2号被保険者に扶養されているところまでは正しいですが,妻ではではなく「被扶養配偶者」正しいものです。
専業主婦でも専業主夫でも第3号被保険者となります。
2 国民年金の第1号被保険者は農業者,自営業者のための制度であり,被用者は加入することができない。
国民年金は,無業者,自営業者などが加入しますが,厚生年金が適用されない被用者も加入します。
5 国民年金の第1号被保険者の保険料は,労働者の場合は報酬比例である。
報酬比例とは,収入に応じて,保険料率が変わることをいいます。
多く払った分,多く給付を受けることができます。
報酬比例になっているのは,厚生年金です。
国民年金の保険料は,定額制です。
現在は,月額16,610円です。