生活保護の特質とは・・・
・事前の拠出を前提としない。
・個別のニーズに合わせて給付される。
・救貧的に機能する。
・資力調査(ミーンズテスト)を行う。
このようなことに整理することができます。
実際には,社会保険と生活保護の特質を比較するように出題されます。
知恵が試される問題となります。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題57 我が国の社会保険と生活保護の制度概念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 社会保険は対象を労働者に限定しているのに対し,生活保護は対象を就労困難者に限定している。
2 社会保険は保険料を納付することにより受給資格が生じるのに対し,生活保護は住民税を納付することにより受給資格が生じる。
3 社会保険は資力調査を課すのに対し,生活保護は所得調査を課す。
4 社会保険は特定の保険事故に対して給付を行うのに対し,生活保護は貧困の原因を問わず,困窮の程度に応じ必要な保護を行い,最低限度の生活を保障する。
5 社会保険は救貧的槻能を果たし,生活保護は防貧的機能を果たす。
そんなに難しい問題ではないと思いますが,知識偏重の人は,このような考えながら解かなければならない問題は,対応できないでしょう。
知識があっても知恵がない社会福祉士は,現場では必要とされません。
そういった受験生をふるいにかけるにはとても良い問題だと思います。
それでは解説です。
1 社会保険は対象を労働者に限定しているのに対し,生活保護は対象を就労困難者に限定している。
わが国の社会保険は5つありますが,労働者に限定しているのは,労働者災害補償保険(労災保険)のみです。
生活保護は,就労困難者も対象に含みますが,就労していても最低生活を保持できない人は対象となります。
2 社会保険は保険料を納付することにより受給資格が生じるのに対し,生活保護は住民税を納付することにより受給資格が生じる。
社会保険は,基本的には社会保険料を納付することで受給資格が生じます。
基本的というのは,障害基礎年金だけは,保険料を納付せずとも受給できる道があるからです。
生活保護は,困窮の事実をもって給付されます。住民税の納付は受給要件ではありません。
3 社会保険は資力調査を課すのに対し,生活保護は所得調査を課す。
社会保険は,保険事故が生じた場合に給付されます。
保険事故とは,例えば,年金保険制度では,65歳になることです。
資力調査を課すのは,生活保護です。
4 社会保険は特定の保険事故に対して給付を行うのに対し,生活保護は貧困の原因を問わず,困窮の程度に応じ必要な保護を行い,最低限度の生活を保障する。
これが正解です。
5 社会保険は救貧的槻能を果たし,生活保護は防貧的機能を果たす。
社会保険 → 防貧的
生活保護 → 救貧的
というように整理することができます。
社会保険が防貧的というのは,たとえば,65歳になると就労できなくなる可能性があるので,貧困にならないように,保険給付されるためです。
生活保護が救貧的というのは最低生活を保持できない場合,その状況から救うために給付するからです。