ジェンダーとは,社会的性差と訳されます。
かつては,ジェンダーに関しての出題は多くありましたが,近年では数少なくなっています。
第33回で久しぶりに出題されたくらいです。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題29 ジェンダーに関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 ジェンダーとは,生物学的性差に基づいて形成される生得的な男らしさ・女らしさのことを意味する。
2 男女共同参画社会を実現するために,厚生労働省に男女共同参画局が設置されている。
3 コペンハーゲンで開催された国連の世界女性会議(1980年)の宣言で,「ジェンダー主流化」が明記された。
4 社会政策におけるジェンダー・バイアスとは,男性が安定的に雇用され,女性が労働市場に参入しないことを標準とみなすようなバイアスのことである。
5 国連によるGEM(ジェンダー・エンパワーメント指数)によれば,日本は,北欧諸国はともに男女の平等化か最も進んだ国々のグループに位置づけられる。
今見るとずいぶん古臭く感じます。
理由は,たくさんありますが,その一つは「GEM(ジェンダー・エンパワーメント指数)」です。
今は
GII(ジェンダー不平等指数)
に変わっています。ほかには
GDI(ジェンダー開発指数)
GGI(ジェンダー・ギャップ指数)
が用いられます。いずれも日本の国際的な順位は高くはありません。
それでは,解説です。
1 ジェンダーとは,生物学的性差に基づいて形成される生得的な男らしさ・女らしさのことを意味する。
ジェンダーは,社会的性差です。育つ過程での性差です。
生得的なものとは異なります。
2 男女共同参画社会を実現するために,厚生労働省に男女共同参画局が設置されている。
男女共同参画局は,内閣府に設置されています。
このような社会全体で取り組まなければならないような問題に関するものは,一つの省庁が管轄するのではなく,内閣府が担当するのが一般的です。
特に,男女共同参画社会は,働き方にも関連するものです。厚生労働省のみで実現できる取り組みではありません。
3 コペンハーゲンで開催された国連の世界女性会議(1980年)の宣言で,「ジェンダー主流化」が明記された。
「ジェンダー主流化」(ジェンダーメインストリーミング)とは,政策にジェンダーの視点を盛り込むことをいいます。
「ジェンダー主流化」が明記されたのは,世界女性会議が北京で開催された1995年のときです。
4 社会政策におけるジェンダー・バイアスとは,男性が安定的に雇用され,女性が労働市場に参入しないことを標準とみなすようなバイアスのことである。
これが正解です。
近年は「ジェンダー〇〇」といった用語が出題されることはなくなっています。
ジェンダー〇〇は,ジェンダーに関する問題を表したものなので,それを知っても先に進むことはできないからかもしれません。
5 国連によるGEM(ジェンダー・エンパワーメント指数)によれば,日本は,北欧諸国はともに男女の平等化か最も進んだ国々のグループに位置づけられる。
日本は,GEMの時代も,現在のGII,GDI,GGIでもランキングは国際的に高くありません。