国家試験に不合格になると,「知識が足りなかった」「勉強が足りなかった」という気持ちが生まれます。
それは,とても重要なことです。
能力不足だった
と思うと,達成動機の低い人になってしまうからです。
しかし,単に「知識が足りなかった」「勉強が足りなかった」では,ちょっと弱いように思います。
第34回国家試験では,よくわからない問題は,権利擁護にみられたくらいで,それ以外の科目は,落ち着いて問題を解くことができれば,ある程度正解できた問題で構成されていたように思います。
そのために,知識を広げなければならない,と思う人は少ないかもしれません。
ボーダーラインを超えないのは,私たちチームfukufuku21が思うに,知識不足というよりも,知識が定着していないことが原因ではないかと思います。
第34回・問題71 「平成30年度国民医療費の概況」(厚生労働省)に基づく,2018年度(平成30年度)の国民医療費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 国民医療費は,50兆円を超えている。
2 国民医療費の国民所得に対する比率は3%に満たない。
3 国民医療費の財源の内訳は,保険料の割合よりも公費の割合の方が大きい。
4 国民医療費は,診療種類別にみると,薬局調剤医療費の占める割合が最も大きい。
5 人口一人当たり国民医療費は,75歳以上の人口一人当たり国民医療費よりも低い。
「国民医療費の概況」は,おそらくある程度勉強した人なら必ず1回は目を通したはずです。
それでも正解するのは,そんなに簡単ではありません。
それが国家試験の怖いところです。
確実な知識がなければ,日本語的には正誤を判別することができないのです。
国家試験は,日本語の問題だ,という人がいますが,問題の文字数が絞られてきている昨今,日本語的に解ける問題は,かなり少ないと言えます。
この問題の場合,いわゆる日本語的に判別することができるのは,選択肢2だけです。
この選択肢が正解にならない理由は,対国民所得比が3%に満たないのであれば,国民医療費が多くなってきているという報道はあまり意味をなさないと考えることができるからです。
知識があいまいだと,ひっかかるのは,選択肢3でしょう。
3 国民医療費の財源の内訳は,保険料の割合よりも公費の割合の方が大きい。
日本の医療保障制度は,社会保険制度を採用しているので,公費が社会保険料を超えるような制度設計はなされません。
こういった覚え方が最後に大きな力となります。
正解は
5 人口一人当たり国民医療費は,75歳以上の人口一人当たり国民医療費よりも低い。
落ち着いて読めば,それほど難しいものではなりません。高齢者が医療を受ける機会が多いのは,誰でも知っていることでしょう。
それでもミスするのが国家試験の怖いところです。知識があることは合格に必要ですが,それを正しくアウトプットすることができなければ,点数の上乗せは期待できません。
今後,スタンダードな問題が多くなるとしたら,ミスを極力少なくすることがこれまで以上に重要になるでしょう。