地域福祉活動計画を知っていますか?
地域福祉計画の間違い?
いいえ,間違いではなく,今日のテーマは地域福祉活動計画です。
地域福祉活動計画は,市町村社会福祉協議会が策定している民間計画です。
地域福祉活動計画は,社会福祉法で地域福祉計画が規定される前から存在し,地域福祉計画と呼ばれていたこともあります。
現在では,親和性の高い市町村地域福祉計画と一体的に策定している市町村もありますが,そのような法規定はありません。
地域福祉活動計画は行政計画ではなく,よく知られていないこともあり,国家試験では引っ掛けとして出題されることがほとんどです。
それでは今日の問題です。
第31回・問題35 社会福祉法に規定されている社会福祉協議会の活動などに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 市町村社会福祉協議会は,市町村地域福祉計画と一体となった地域福祉活動計画を策定するとされている。
2 市町村社会福祉協議会は,区域内における社会福祉事業又は社会福祉に関する活動を行う者の過半数が参加するものとされている。
3 市町村社会福祉協議会は,主要な財源確保として共同募金事業を行っている。
4 市町村社会福祉協議会は,「社会福祉事業」よりも広い範囲の事業である社会福祉を目的とする事業に関する企画及び実施を行う。
5 都道府県社会福祉協議会は,広域的見地から市町村社会福祉協議会を監督する。
この問題はなかなかうまい出題です。
消去法で答えるタイプです。一つでも消去できないと正解することができません。
しかも慎重が求められています。社会福祉法に規定されているものでなければなりません。
それでは解説です。
1 市町村社会福祉協議会は,市町村地域福祉計画と一体となった地域福祉活動計画を策定するとされている。
前説のように,このような規定はありません。
2 市町村社会福祉協議会は,区域内における社会福祉事業又は社会福祉に関する活動を行う者の過半数が参加するものとされている。
慎重さが求められるのは,この選択肢です。
法に規定されているのは,
区域内における社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加するもの
社会福祉に関する活動を行う者は,地域福祉の推進主体の一つです。
ボランティアも地域福祉に関する活動を行う者に含まれます。
これがイメージできれば,社会福祉に関する活動を行う者が市町村社会福祉協議会の構成で過半数が参加するということは規定されないと覚えられます。
この選択肢は,引っ掛けでよく用いられるものです。
〈引っ掛けポイント〉
社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者
この問題のように更生保護事業を経営する者の部分を変えて出題されます。
過半数
過半数の部分を3分の1,3分の2といったように変えて出題されます。
3 市町村社会福祉協議会は,主要な財源確保として共同募金事業を行っている。
共同募金を行っているのは,共同募金会です。
共同募金は,共同募金会以外が実施することはできません。
4 市町村社会福祉協議会は,「社会福祉事業」よりも広い範囲の事業である社会福祉を目的とする事業に関する企画及び実施を行う。
これが正解ですが,これを正解だと判別することは容易ではありません。
法では,以下のように規定されています。
市町村社会福祉協議会
一 社会福祉を目的とする事業の企画及び実施 二 社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助 三 社会福祉を目的とする事業に関する調査、普及、宣伝、連絡、調整及び助成 四 前三号に掲げる事業のほか、社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図るために必要な事業 |
このうちの「一」の規定を知っていなくても,社協は,社会福祉事業も実施している事業型社協もありますが,社会福祉事業以外の事業を行っていることは知っているでしょう。
5 都道府県社会福祉協議会は,広域的見地から市町村社会福祉協議会を監督する。
これも一見すると正解に見えるかもしれません。
法では,以下のように規定されています。
都道府県社会福祉協議会
一 前条第一項各号に掲げる事業であつて各市町村を通ずる広域的な見地から行うことが適切なもの 二 社会福祉を目的とする事業に従事する者の養成及び研修 三 社会福祉を目的とする事業の経営に関する指導及び助言 四 市町村社会福祉協議会の相互の連絡及び事業の調整 |
この規定を知らずとも,都道府県社協は市町村社協の上部組織ではないことを考えると監督するようなことはないだろうと推測できそうです。