2022年3月25日金曜日

ストレスフリーの勉強法

国家試験に合格するために必要なことは,覚えるべきものを確実に覚え切ることが欠かせません。

 

丸暗記するよりも,意味をつかむことが覚えるコツです。

 

丸暗記は,ストレスが多いわりに,覚えにくく,しかも国家試験で効果の出にくい勉強法です。

 

なぜなら言い回しを変えられたら,対応できないことがあるからです。

 

穴埋めして覚える教材もありますが,私たちチームfukufuku21はあまりおすすめできないものだと考えています。国家試験が筆記式なら良い学習だと思いますが,社会福祉士はマークシートです。

 

おおよその意味をつかんでいく学習ができれば,対応可能です。

 

これなら,ストレスを感じにくく,得点力を上げることができます。

 

それでは,今日の問題です。

 

31回・問題33 地域福祉に関する理念や概念に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。

1 ソーシャルキャピタルとは,地域における公共的建築物や公共交通といった物的資本の整備状況を示すことをいう。

2 住民主体の原則とは,行政の指導の下で地域住民が主体となって行う地域活動の原則のことをいう。

3 ノーマライゼーションとは,障害のある人に,障害のない人と同じような暮らしが可能となる生活条件を作り出していく考え方のことをいう。

4 地域移行支援とは,住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供することで,在宅の限界点を高めることをいう。

5 ソーシャルインクルージョンとは,全ての人々を孤独や孤立,排除や摩擦から援護し,社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。

 

カタカナの言葉が入っていると,正解するのが極端に難しくなることがわかってきています。

 

その理由は,日本語と異なり,勉強していないと意味を推測することができないことにあります。

 

この問題の場合は,

ソーシャルキャピタル

ノーマライゼーション

ソーシャルインクルージョン

 

と3つも含まれることと正解を2つ選ぶことのダブルパンチで受験者を悩ませます。

 

それでは解説です。

 

1 ソーシャルキャピタルとは,地域における公共的建築物や公共交通といった物的資本の整備状況を示すことをいう。

 

ソーシャルキャピタルは,社会関係資本と訳され,「互酬性」「信頼性」「ネットワーク」による人と人のつながりのことです。

ソーシャルキャピタルは,古典的な集団ではなく,人と人の弱いつながり(紐帯=紐帯)でつながっています。 

この紐帯こそが,「互酬性」「信頼性」「ネットワーク」そのものです。

 互酬性は,人に何かをしてもらったら,何かをして返すといったものです。「こうしてくれる」ということが信頼性につながります。「してくれない」と思えば,互酬性は崩れます。

 「互酬性」と「信頼性」は,11の関係性ですが,それが多くの人に広がれば「ネットワーク」となります。

ソーシャルキャピタルは,本来はこのような自主的な結びつきです。

しかし,国は,地域活性化の切り札として,ソーシャルキャピタルの活用を考えています。

だから国家試験でポイントとなっているのです。

  

2 住民主体の原則とは,行政の指導の下で地域住民が主体となって行う地域活動の原則のことをいう。

 

住民主体の原則は,1962年(昭和37)年の全国社会福祉協議会による「社会福祉協議会基本要項」で打ち出されたものです。

 

 その中では,以下のように述べられています。

 

「住民主体」とは,地域住民のニードに即した活動をすすめることをねらいとし,それに必要な組織構成を充実するということである。したがって公私の関係者は,住民の立場を理解して社会福祉協議会に参加,協力するのが本旨である。しかしこのことは,これら関係者の立場を弱めるものではなく,むしろその役割と態度を明確にしたものである。

 

社会福祉協議会は,住民の福祉ニーズを充足するための活動するものなのだ,ということに述べています。

行政は,住民の立場を理解して協力するものです。

 

 

3 ノーマライゼーションとは,障害のある人に,障害のない人と同じような暮らしが可能となる生活条件を作り出していく考え方のことをいう。

 

これが1つめの正解です。

 

4 地域移行支援とは,住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供することで,在宅の限界点を高めることをいう。

 

地域移行支援は,病院や施設から出て,地域で生活することを支援するものです。

 

住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供することは,地域包括ケアシステムです。

 

5 ソーシャルインクルージョンとは,全ての人々を孤独や孤立,排除や摩擦から援護し,社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。

 

これがもう1つの正解です。

 

〈今日の留意点〉

 

改めて,正解を抜き出すと

 

ノーマライゼーションとは,障害のある人に,障害のない人と同じような暮らしが可能となる生活条件を作り出していく考え方のことをいう。

 

ソーシャルインクルージョンとは,全ての人々を孤独や孤立,排除や摩擦から援護し,社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。

 

何の変哲もない文章で,これが正解だとわかれば,これ以外に正解は見えてこないでしょう。

 

しかし,国家試験会場では,そんなに簡単には正解させてくれません。同じ文章では出題されないからです。

 

たとえば,

 

ノーマライゼーションとは,障害のある人に,障害のない人と同じような暮らしが可能となる生活条件を作り出していく考え方のことをいう。

 

を正解にできない人は,この中に何かの引っ掛けがあるのかと疑います。

 

しかし,「住民主体の原則とは,行政の指導の下で地域住民が主体となって行う地域活動の原則のことをいう」と比べてみてください。

 

この選択肢では「行政の指導の下で」という明らかにあやしいものが含まれているのに対し,ノーマライゼーションは,そんな表現はありません。

 

法の条文は,定型文があるので,それに従って出題すればよいのですが,概念的なものは,通常では定型文は存在しません。

そのため,誤りの文章にするのは,難しい作問技術を要します。確実な誤りポイントを挿入することで,誤りの文章を作り上げます。

 

丸暗記学習は,本来は定型文がないものを定型文として覚える学習法です。

 

言い回しを変えられると対応できない,という感想を言う人がいますが,定型文がないのですから,言い回しを変えてするのは当然のことです。

 

「おおよその意味を押さえておけばOK」という意味を何となくでも理解してもらえたでしょうか。

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