事例問題は,解釈によって答えが分かれるようなものだと不適切問題になる可能性があるので,より慎重に作られます。
特に地域福祉の事例問題の場合,社会福祉士及び介護福祉法による社会福祉士の社会福祉士の定義を正解の根拠とするものが多いように思います。
(定義) 第二条 この法律において「社会福祉士」とは、第二十八条の登録を受け、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者(第四十七条において「福祉サービス関係者等」という。)との連絡及び調整その他の援助を行うこと(第七条及び第四十七条の二において「相談援助」という。)を業とする者をいう。 |
地域福祉の事例問題では,まずは,相談援助のうち,福祉サービス関係者等との連絡および調整を手がかりに答えを考えると良いです。それに類するものが選択肢にない場合,別のことを考えます。
なお,社会福祉士及び介護福祉士の第47条とは,以下のような規定です。
(連携) 第四十七条 社会福祉士は、その業務を行うに当たつては、その担当する者に、福祉サービス及びこれに関連する保健医療サービスその他のサービス(次項において「福祉サービス等」という。)が総合的かつ適切に提供されるよう、地域に即した創意と工夫を行いつつ、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。 |
福祉サービス関係者等との連携が,地域福祉の事例問題を解くときのカギとなります。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題38 事例を読んで,地域包括支援センターのA相談員(社会福祉士)による今後のBさんへの支援や近隣との関わりとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
一人暮らしのBさん(89歳,女性)は,認知機能の低下は見られないが,日常的な買物や家事が難しくなってきている。そこで,地域包括支援センターに相談をしたところ,A相談員は要介護認定を受けることを勧め,要支援1の認定を受けた。
Bさんは週1回,近隣で開催されている高齢者サロンに参加することを楽しみにしており,ちょっとした買物やゴミ出しについては,近隣の住民が声を掛けて随時手助けを行っている。
1 Bさんに高齢者サロンの利用をやめて,デイサービスを利用するよう促す。
2 近隣の手助けが行われているので,A相談員は当面関わらないようにする。
3 近隣の住民に対し,専門職が関わるので,手助けは不要であると伝える。
4 公的な制度の利用は検討せず,近隣の住民に支援の中心になるよう依頼する。
5 現在の近隣関係を基に,今後の支援の在り方を他の専門職と一緒に検討する。
この問題のつくり方は下手なので,地域福祉の事例問題を解くときのカギを使わなくても答えは見つけられます。
正解は,選択肢5です。
5 現在の近隣関係を基に,今後の支援の在り方を他の専門職と一緒に検討する。
これ以外に,福祉サービス関係者等との連携となっているものはありません。
〈今日のまとめ〉
地域福祉の事例問題では,まずは,相談援助のうち,福祉サービス関係者等との連絡および調整を手がかりに答えを考えます。
それに類するものが選択肢にない場合,別のことを考えます。
こういった問題を解くときの基準を持つことで,解ける問題をミスするという失敗をかなり防ぐことができます。