いわゆるボーダーライン
現時点(2022年3月)における直近の国家試験は,2022年2月に実施された第34回です。
第1回に実施された頃に生まれた人が,現在は立派な青年になっていることを考えるとずいぶんと長い歴史を刻んできたものです。
さて,合格基準点(いわゆるボーダーライン)が発表されるようになったのは,第15回からです。
第1~14回は,受験者数,合格者数,合格率が発表されていました。
国家試験の問題が安定して作れるようになるまで,15回も要したということなのでしょう。
国家試験の実施機関である「社会福祉振興・試験センター」が示す合格基準は,約60%で,問題の難易度によって補正する,ということのみです。
どのように問題の難易度を客観的データとして計測して,どのように補正したのかを示すことはないので,疑念が生まれてくるところです。
試験センターは,膨大な受験者のデータを保持しているので,そこから受験者の実力を推定していると思われます。
試験センターが理想にしている国家試験とは?
試験センターが理想としている国家試験は,合格基準点90点,合格率30%であるように思います。
このようになることを考えて,さまざまな問題を組み合わせて出題していると思います。
しかし,実際に国家試験を実施すると,予想とは異なる結果となることがあります。その時に合格基準点が補正されます。
現在は,平成19年カリキュラム改正によって実施されている国家試験の末期,すでに13回も実施されています。
カリキュラムが変わった当初よりも今のほうが,圧倒的に対策が取りやすい状況です。
当初はどんな問題が出題されるか,よくわからないこともあり,点数が取りにくい状況でした。
今は,どんな問題が出題されるか,おおよそ検討がつきます。ミスしなければ,130点以上得点することも可能です。
試験センターは,こういった受験者の実力アップをとらえきれていないのではないかと思います。
「魔の第25回国試」と呼んでいる合格基準点が72点となった第25回国試の大失敗を繰り返さないように,その第26~29回まで改革が行われてきました。
もうちょっとだけ,合格基準点を上げようと考えたとたん,第30回国試では,99点というところまで跳ね上がってしまいました。
こんなにばらつきがあったら,何点とれば合格できるのだろう,と不安になってしまうのも致し方ないところです。
しかし,試験センターが示す合格基準は,6割程度であり,いつも変化はありません。
重要なのは,何点取ることではなく,どう勉強するか?
出題基準に示された内容を丁寧に勉強していき,その範囲を得点できれば,合格基準点がどう変化しようとも,必ず合格基準点は超えられます。
何点取るというのは目標としてわかりやすいですが,それよりも目標に掲げるのは,出題範囲に示されたものは,知らないものはない,という状態で国試に臨む,といったもののほうが適切なように思います。
合格基準点が上がった場合,「去年のボーダーなら合格できていた」と思う人もいるはずです。
しかし,難易度で補正されることを考えると,おそらくその前の年と同じ難易度で出題されていたとすると,やっぱり数点足りないという状況になっているはずです。
第30回国試で,97点で不合格になった人が,そのあともずっと不合格になっている人もいます。
これは,6割を超える実力がついていないということではありません。勉強不足の人はともかく,ある程度しっかり勉強した人が不合格になる場合,多く見られる要因は取りこぼしです。
せっかく勉強して知識を積み上げても,取りこぼしがあるとざるから水がこぼれてしまうように,点数は上乗せされないのです。
私たちチームfukufuku21は,そんな状況にならないための情報を発信しています。
※今日の問題はお休みします。