生活困窮者自立支援制度は,平成25年に成立したまだ新しい制度です。
しかし,とても重要なため国家試験ではほぼ毎回出題されています。
第27回
第28回
第29回
第30回
第31回
第34回
第32・33回に出題されていないだけという出題頻度がとても高いものです。
〈生活困窮者自立支援制度の理念〉
出典
厚生労働省 社会・援護局地域福祉課 生活困窮者自立支援室 :生活困窮者自立支援法について(令和4年3月13日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000046438.pdf
それでは,今日の問題です。
第31回・問題32 地域福祉の政策に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」報告書(2008年(平成20年))では,地域住民の生活課題を踏まえて公助を拡大することの重要性が指摘された。
2 生活困窮者自立支援法(2013年(平成25年))では,生活困窮者の自立の促進と尊厳の保持とともに生活困窮者支援を通じた地域づくりが基本理念とされた。
3 「医療介護総合確保推進法」(2014年(平成26年))では,地域包括ケアシステムという用語が初めて法律に明記された。
4 「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」(2015年(平成27年))では,分野別の専門的相談支援体制の強化に向けての改革の必要性が提示された。
5 社会福祉法の改正(2017年(平成29年))では,市町村地域福祉計画について,3年ごとに,調査,分析及び評価を行うこととされた。
(注)1 「医療介護総合確保推進法」とは,「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」のことである。
2 「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」とは,厚生労働省新たな福祉サービスのシステム等のあり方検討プロジェクトチームが出した「誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現―新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」という報告書のことである。
とても難しめの問題かもしれません。
しかし,決して慌てず,問題を俯瞰してみると答えは何となくでも見えてくるタイプの問題です。
国家試験の問題の中には,このような問題が必ず含まれます。
正解は,前説の通り,選択肢2です。
2 生活困窮者自立支援法(2013年(平成25年))では,生活困窮者の自立の促進と尊厳の保持とともに生活困窮者支援を通じた地域づくりが基本理念とされた。
基本理念を覚えていなくても,内容に違和感がありません。
そのために,正解っぽいと判断ができます。
ほかの選択肢も確認します。
1 「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」報告書(2008年(平成20年))では,地域住民の生活課題を踏まえて公助を拡大することの重要性が指摘された。
この時代に,「公助」を拡大することはまず考えられません。
3 「医療介護総合確保推進法」(2014年(平成26年))では,地域包括ケアシステムという用語が初めて法律に明記された。
こういった出題があると,焦るでしょう。しかし,「初めて」は正解になりにくいものであることを覚えておきたいです。
地域包括ケアは,2013年(平成25年)の「社会保障改革プログラム法」(持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律)で明記されたのが初めてです。
4 「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」(2015年(平成27年))では,分野別の専門的相談支援体制の強化に向けての改革の必要性が提示された。
イギリスのシーボーム報告では,部局が分かれていたものが一つにまとめられましたね。
覚えていますか?
いわゆるワンストップサービスが模索される中,縦割りを強化することは考えられません。
5 社会福祉法の改正(2017年(平成29年))では,市町村地域福祉計画について,3年ごとに,調査,分析及び評価を行うこととされた。
地域福祉計画の策定は努力義務です。
ほかの計画と異なるのは,自治事務に位置づけられるからです。
法では,
市町村は、定期的に、その策定した市町村地域福祉計画について、調査、分析及び評価を行うよう努める。
と規定され,具体的な期間は明示されていません。