第34回国家試験の合格基準点は,150点満点で105点だったので,得点率は70%だということになります。
もともと60%程度なので,それよりも上がっても下がっても問題はないですが,合格すると思って資格取得見込みで就職活動をしていた人にとっては,とんでもなく大きな影響があります。
社会福祉振興・試験センターには,膨大なデータが蓄積されているので,それらを分析すれば,おおよその得点は想定できます。
しかし,それは母集団の性質(つまり受験者全体)が同じ場合です。
感染症の影響で十分な教育ができなかったという条件や受験しなかった(できなかった)といった特別な条件が加わったとき,読みが外れます。
合格基準点が公表されるようになったのは,第15回国試からです。
14回もかけて受験者のデータを蓄積して,そのうえで公表するようにしたのだと思います。
それでも読み違いが生じます。
ましてデータが十分にない一般人が正確なボーダー予想なんてできるはずがありません。
第34回国家試験は,なぜ105点という点数になったのだと思いますか?
その最大の理由は,どんな問題が出題されるのか,おおよその予測がつくからです。
最初(第22・23回のころ)には,福祉行財政と福祉計画で0点になる人が多かったものです。
それは,どんな問題が出題されるかわからなかったためです。社会調査の基礎(社会福祉調査の基礎)も同じです。
〈理由①〉 受験者の減少
感染予防の受験回避,受験料が高いことによる記念受験などの減少により,受験者数が少なくなりました。学生自体が減少しているなら点数に影響を与えませんが,こういった理由で受験者が減少すると,実力が高い人が多くなります。
なぜなら受験しない人の中には,実力不足の人が多いと考えられるからです。第33回の93点もその影響もあったと言えます。
〈理由②〉 対策が容易になってきている
平成19年カリキュラム改正の国家試験は,これまで13回実施されています。先に述べたように,どんな問題が出題されるのかが予測しやすくなっています。覚えるか覚えないかの違いです。
過去に似たような出題があった問題が多いと点数が取りやすくなります。そのため,難易度がちょっと下がっただけで,点数がグーンと上がります。
対面授業ができなかったことで学力が上がらなかった人もいると思いますが,通信教育の人はもともと関係ない話なので,学力低下を見越した問題づくりは,見込み違いになりがちです。