今日のテーマは,プラットフォーム型の連携です。
プラットフォームは,駅のいわゆるホームと同じ言葉です。ホームと言いますが,正式にはプラットフォームといいます。
それでは,「プラットフォーム型の連携」とは何でしょうか。
国家試験では,勉強したことがない用語を散りばめて出題してきます。
勉強の過程では,知らないことは調べることができますが,国家試験の会場では自分で推測しながら問題を解かなければなりません。
合格する人とそうでない人の差は,これができるかどうかの差であるように思います。
ただし,国家試験は,すべての選択肢の意味を正しく理解できていなくても解ける問題がほとんどです。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題39 地域福祉における連携に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域福祉の推進には,個人支援レベル,機関・団体の活動者や実務者レベル,それらの代表者レベルの各種の重層的な連携が想定される。
2 NPOなどのアソシエーション型組織と自治会のような地域コミュニティ型組織は,それぞれ目的や活動圏域等が異なるため連携することなく活動している。
3 民生委員児童委員協議会は,その職務の遂行に当たって,当該市町村の自治会連合会と連携することが法定化されている。
4 プラットフォーム型の連携とは,地域生活課題への対応を協議するため,固定化された代表者が行う会議のことである。
5 小地域ネットワーク活動は,要支援者を専門機関が発見し,地域住民が見守るという,双方の責任分担を明確にした見守りのための連携の仕組みである。
地域福祉の科目は,苦手だと思う人は意外と多いようです。
勉強したことがないものが出題されることが多いからでしょう。
しかし,落ち着いてみてください。
答えが何となく見えてきませんか。
それは,「プラットフォーム型の連携」を含む選択肢でしょうか。
国家試験とはこういったものです。
それでは,解説です。
1 地域福祉の推進には,個人支援レベル,機関・団体の活動者や実務者レベル,それらの代表者レベルの各種の重層的な連携が想定される。
これが正解です。
現在,この選択肢を見れば,社会福祉法に規定される重層的支援体制整備事業を想定した出題なのだろうと思えますが,これが規定されたのは2020年改正の時です。
この問題が出題されたのは2019年です。
しかし,地域福祉の推進について,重層的な連携を知らずとも,この選択肢を誤りにする理由を見つけるのは困難です。国家試験とはこんなものです。
2 NPOなどのアソシエーション型組織と自治会のような地域コミュニティ型組織は,それぞれ目的や活動圏域等が異なるため連携することなく活動している。
これを正解だと思う人はまずいないと思いますが,もちろん連携することはあります。
3 民生委員児童委員協議会は,その職務の遂行に当たって,当該市町村の自治会連合会と連携することが法定化されている。
こんな規定はありませんが,自治会連合会のないような小さな規模の村では,そもそも連携することができません。
4 プラットフォーム型の連携とは,地域生活課題への対応を協議するため,固定化された代表者が行う会議のことである。
ようやく今日のテーマである「プラットフォーム型の連携」が出てきました。
プラットフォーム型とは,地域生活課題への対応を協議する自発的に参加できる場のことです。
プラットフォーム型の連携とは,その場を活用して地域福祉課題に柔軟に連携して取り組む活動です。
プラットフォームは,誰もが乗ることのできる台といった意味合いで使われています。
固定化された代表者が集う場ではありません。
ここで駅のホームとつながりませんか。
5 小地域ネットワーク活動は,要支援者を専門機関が発見し,地域住民が見守るという,双方の責任分担を明確にした見守りのための連携の仕組みである。
地域共生社会は,「我が事・丸ごと」がテーマです。地域を住民がともに作っていくのが地域共生社会です。
ある時は,支援者となり,ある時は,受け手になる,といった境界線があいまいな社会だと言えます。
そんな中,小地域ネットワーク活動が役割分担を明確にした活動であるわけがありません。