介護保険法は改正される度に,新しい事業が加わります。
特に地域支援事業は,どんどん複雑になってきています。
地域支援事業のうちの包括的支援事業には,以下の事業があります。
・地域包括支援センター運営事業
・在宅医療・介護連携推進事業 ・認知症総合支援事業
・生活支援体制整備事業
今日のテーマは,「在宅医療・介護連携推進事業」です。
在宅医療・介護連携推進事業は,地域の医療・介護の関係団体が連携して,包括的かつ継続的な在宅医療と介護を一体的に提供するための必要な支援を行うために,地域の医療・介護関係者による会議の開催,在宅医療・介護関係者の研修,地域住民への普及啓発等を実施する事業です。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題41 高齢者保健福祉の領域における地域包括ケアの推進に関して,地域福祉と関連する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
1 介護保険法の改正(2014年(平成26年))で,市町村に地域ケア会議が必置の機関として法定化された。
2 生活支援体制整備事業に規定された地域福祉コーディネーターが市町村に配置され,協議体づくりが進められている。
3 介護予防・日常生活支援総合事業では,ボランティア,NPO,民間企業,協同組合などの多様な主体がサービスを提供することが想定されている。
4 在宅医療・介護連携推進事業には,地域住民への普及啓発が含まれる。
5 介護保険法では,要介護認定に関わる主治医の意見に認知症初期集中支援チームの,地域での活用に関する記載が義務づけられた。
内容的にはかなり難しいものだと思いますが,問題づくりが下手なので,何となく答えが見えてきそうな問題です。
答えが見えてきそうな感じはしますか?
それでは解説です。
1 介護保険法の改正(2014年(平成26年))で,市町村に地域ケア会議が必置の機関として法定化された。
介護保険制度は,自治事務にあたるので市町村が行うもので義務なのは多くありません。
地域包括支援センターの設置と同様に地域ケア会議の設置も任意です。
2 生活支援体制整備事業に規定された地域福祉コーディネーターが市町村に配置され,協議体づくりが進められている。
生活支援体制整備事業で配置されるのは,生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)です。
3 介護予防・日常生活支援総合事業では,ボランティア,NPO,民間企業,協同組合などの多様な主体がサービスを提供することが想定されている。
これが1つめの正解です。
介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)は,介護予防・生活支援サービス事業と一般介護予防事業があります。
これらは多様な主体がサービスを提供することが想定されています。
4 在宅医療・介護連携推進事業には,地域住民への普及啓発が含まれる。
これがもう1つの正解です。
5 介護保険法では,要介護認定に関わる主治医の意見に認知症初期集中支援チームの,地域での活用に関する記載が義務づけられた。
こういった義務はありません。
〈今日の一言〉
知らないものでもあきらめない
今日の問題は,施策のお披露目のような内容になっています。
知識が不足していると正解できないように思うかもしれませんが,日本語的に解くことができそうな問題でした。
施策のお披露目のような問題は,一見すると難しく思いますが,出題意図を考えると,意外と答えが見えてくるものです。