早く昔話になってくれればよいと思いますが,令和2年から新型コロナウイルス感染症の流行が始まりました。
この年のいわゆる「コロナ予算」は,約77兆円でした。
国家予算が約100兆円なので,それに匹敵するほどの規模です。
生活保護は,日本国憲法第25条に規定される生存権を保障する制度です。
生活保護に用いられるのは約4兆円です。
4兆円が多いか少ないかは個人の感覚にお任せします。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題64 現在の生活保護の基準に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 生活保護基準は,3年に1回改定される。
2 生活保護基準は,財務大臣と厚生労働大臣の連名で改定される。
3 生活保護に係る施策との整合性に配慮して,地域別最低賃金が決定される。
4 生活扶助基準は,マーケット・バスケット方式によって設定される。
5 生活保護基準に連動して,障害基礎年金の水準が改定される。
最低賃金よりも生活保護のほうが高いということが報道されることがありますが,生活保護受給者の大部分を占めている単身世帯,二人世帯では,そのようになりません。
生活保護基準が引き下げられることがあるのは,最低賃金との兼ね合いではなく,消費水準が下がったためです。
この問題の正解は,選択肢3です。
3 生活保護に係る施策との整合性に配慮して,地域別最低賃金が決定される。
この問題は,第31回国家試験のものですが,この年は,最低賃金に関連する問題がこの問題を含めて,3問出題されました。
その当時,最低賃金のことが話題になっていたかは覚えていませんが,少なくとも,最低賃金よりも生活保護基準が高いから,生活保護基準を引き下げるのではないことを知ってもらいたいという意図はあったように思います。
冷静に考えると,最低賃金よりも生活保護基準が高いから,生活保護基準を引き下げるのではないことはわかります。
なぜなら,生活保護は,最低生活保障ですから,最低賃金よりも低いという理由で,基準を引き下げると最低生活よりも下がってしまうことになります。
そのため,生活保護基準などを鑑みて,最低賃金を決めることが重要です。
世の中に生活保護受給者バッシングが起きることがあります。
生活保護基準が上がれば,最低賃金も上がる可能性があるのに,知らないというのは怖いことです。
それでは,ほかの選択肢も確認します。
1 生活保護基準は,3年に1回改定される。
生活保護基準の改定は必要な時に行うので不定期です。
2 生活保護基準は,財務大臣と厚生労働大臣の連名で改定される。
生活保護基準は,厚生労働大臣が定めます。
4 生活扶助基準は,マーケット・バスケット方式によって設定される。
生活扶助基準にマーケット・バスケット方式が用いられていたのは大昔の話です。
現在は,水準均衡方式が用いられています。
5 生活保護基準に連動して,障害基礎年金の水準が改定される。
国民年金は,マクロ経済スライドいう方式によって決定されています。