歴史を苦手だという人は多いですが,法制度のように改正はありません。
そしてそんなに昔の話ではありません。しっかり覚えて得点源にしたいものです。
それでは今日の問題です。
第31回・問題53 医療保障制度の歴史的展開に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 健康保険法(1922年(大正11年))により,農業従事者や自営業者が適用対象となった。
2 老人福祉法(1963年(昭和38年))により,国民皆保険が実現した。
3 老人保健法(1982年(昭和57年))により,高額療養費制度が創設された。
4 介護保険法(1997年(平成9年))により,老人保健施設が創設された。
5 健康保険法等の改正(2006年(平成18年))による「高齢者医療確保法」により,75歳以上の高齢者が別建ての制度に加入する後期高齢者医療制度が創設された。
(注) 「高齢者医療確保法」とは,「高齢者の医療の確保に関する法律」のことである。
この問題は歴史問題に見えますが,現行制度を絡めて出題したものです。
気がつきますか?
それでは,解説です。
1 健康保険法(1922年(大正11年))により,農業従事者や自営業者が適用対象となった。
現役世代の医療保険制度は,健康保険と国民健康保険があります。
健康保険 → 被用者が対象
国民健康保険 → 自営業者等が対象
この関係は,制度が成立した最初から今も同じです。
2 老人福祉法(1963年(昭和38年))により,国民皆保険が実現した。
国民皆保険が実現したのは,1958年(昭和33年)の国民健康保険法(新法)の施行です。
未実施だった市町村に実施を義務づけたことで,皆保険が実現しています。
1959年(昭和34年)の国民年金法が1961年(昭和36年)に施行されたことで,皆保険・皆年金の体制が出来上がりました。
3 老人保健法(1982年(昭和57年))により,高額療養費制度が創設された。
高額療養費制度は,福祉元年と呼ばれた1973年にできたものです。
4 介護保険法(1997年(平成9年))により,老人保健施設が創設された。
現在の介護老人保健施設は,介護保険法が根拠法ですが,創設されたのは,老人保健法の1986年改正です。
5 健康保険法等の改正(2006年(平成18年))による「高齢者医療確保法」により,75歳以上の高齢者が別建ての制度に加入する後期高齢者医療制度が創設された。
これが正解です。
〈今日の一言〉
戦前からあった制度を利用して皆保険も皆年金も作られました。そのため,ほかの社会保険制度よりも複雑です。
覚えるのが大変ですが,その分,ほかの受験生と差をつけやすいとも言えます。