令和元年度カリキュラム改正による国家試験は,第37回国家試験から実施されます。
現時点(2022年4月)では,第35回と第36回国家試験が平成19年度カリキュラム改正で実施されます。
この2回では,新しいカリキュラムに向けて,少しずつ移行していきます。
しかし,学校で教わらないものを出題していくことはまず考えられないので,変化があると考えられるのは,社会福祉士国家試験の在り方に関する検討会報告書で示されたタクソノミー分類を意識した出題です。
・タクソノミーⅠ型(単純な知識の想起によって解答できる問題) |
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第35回の国家試験について~その1
https://fukufuku21.blogspot.com/2022/04/35.html
同報告書では,
タクソノミー分類を踏まえた問題作成は、医療資格の国家試験のタクソノミー分類の考え方等を参考にして、社会福祉士国家試験における考え方を検討し、具体的な作問過程に落とし込む必要がある。
と医療資格について言及しています。
今回は,看護師国家試験で例示します。以下は第110回問題です。
タクソノミーⅠ型だと思われる問題
午前・問題11 後頭葉にあるのはどれか。
1.嗅覚野
2.視覚野
3.聴覚野
4.体性感覚野
午前・問題12 胃から分泌される消化管ホルモンはどれか。
1.ガストリン
2.セクレチン
3.胃抑制ペプチド
4.コレシストキニン
タクソノミーⅡ型だと思われる問題
午前・問題73 A さん(52 歳、男性)は、49 歳から高血圧症で内服治療と食事や運動に関する生活指導を受けている。か月間の予定で開発途上国に出張することになり、予防接種を受ける目的で渡航外来を受診した。A さんから「渡航にあたって何か注意することはありますか」と質問があった。
A さんへの看護師の説明で適切なのはどれか。
1.「出張中は、減塩の必要はありません」
2.「出張先では有酸素運動は控えましょう」
3.「現地に到着してから健康診断を受診しましょう」
4.「持参する高血圧症の薬について、かかりつけ医に相談しましょう」
タクソノミーⅢ型だと思われる問題
午後問題
次の文を読み 103〜105 の問いに答えよ。
Aちゃん(5か月、女児)は、父親(会社員)、母親(主婦)、兄のB君(3歳)と4人家族である。近所に祖父母が住んでいる。Aちゃんは3日前から鼻汁と咳嗽があり、昨日夕方より39℃の発熱がみられ小児科外来を受診した。自宅で哺乳量の低下はなく、1日に1、2回咳嗽とともに嘔吐がみられていた。来院時、体温39.3℃、呼吸数45/分、脈拍142/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)98%(room air)であった。診察と検査の結果、RSウイルスによる急性細気管支炎と診断され、去痰薬が処方された。
103 診察後、家庭でのケアについてAちゃんの母親に指導することになった。
看護師の指導で適切なのはどれか。
1.「1回に飲むミルクの量を多くしてください」
2.「哺乳前に鼻水を器具で吸引してあげてください」
3.「去痰薬は、ミルクを飲んだ後に飲ませてください」
4.「授乳後は仰向けで寝かせてください」
104 Aちゃんは、発熱が続き、哺乳量が減ってきたため日後に再度来院した。来院時、体温39.4℃、呼吸数60/分、脈拍154/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)92 %(room air)、口唇色と顔色はやや不良であった。胸部エックス線撮影で肺炎は認められない。Aちゃんは、経口摂取不良と呼吸困難のため、母親が付き添って入院することとなった。酸素吸入と点滴静脈内注射が開始された。入院前のAちゃんについて母親から収集すべき情報で優先度が高いのはどれか。
1.去痰薬の内服状況
2.最終排尿の時間
3.皮膚搔痒の有無
4.排便の状況
タクソノミーⅢ型だと思われる問題とし示したものは,「状況設定問題」と呼ばれるものです。もともとの事例があって,さらに別の事例が示されています。
精神保健福祉士には,長文事例問題がありますが,これとはかなり異なります。
社会福祉士の国家試験で,タクソノミーⅢ型をどのように出題するのか,もう少し分析してみることが必要なようです。