第37回国家試験から始まる新しいカリキュラムでも発展過程が含まれています。
歴史は,現行の制度と異なり変化しないので,本来は取り組みやすいものだと思います。
今日のテーマは,障害者の権利に関する条約です。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題57 障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 国連で定めた国際障害者年(1981年(昭和56年))のテーマは,「万人のための社会に向けて」であった。
2 「障害者虐待防止法」(2011年(平成23年))における障害者虐待には,障害者福祉施設従事者によるものは除外された。
3 「障害者雇用促進法」の改正(2013年(平成25年))では,雇用分野における障害を理由とした不当な差別的取扱いの禁止について,努力義務が課された。
4 「障害者差別解消法」(2013年(平成25年))では,障害を理由とした不当な差別的取扱いの禁止について,民間事業者に努力義務が課された。
5 障害者の権利に関する条約(2014年(平成26年)批准)では,「合理的配慮」という考え方が重要視された。
(注)1 「障害者虐待防止法」とは,「障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
2 「障害者雇用促進法」とは,「障害者の雇用の促進等に関する法律」のことである。
3 「障害者差別解消法」とは,「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。
これを歴史問題だととらえるとあまりに無味乾燥です。
よくみると,国際障害者年以外は,すべて現在の制度です。
歴史の試験ではないので,「●●年」といった年号が問われることはまずありません。
歴史が覚えるのが苦手だという人の話をよくよく聞いてみると,「年号が覚えられない」というものが多いようです。
おおよその時代が押さえられていれば十分です。
「1981年 = 国際障害者年」
という覚え方では,選択肢1はわかりません。
必要なのは,
「国際障害者年 = 完全参加と平等」
です。
少しは,歴史に関しての心のバリアは取れそうですか?
それでは解説です。
1 国連で定めた国際障害者年(1981年(昭和56年))のテーマは,「万人のための社会に向けて」であった。
国際障害者年のテーマは,前説のとおり,完全参加と平等です。
「万人のための社会に向けて」を覚える必要はまったくありませんが,2001年の「障害者に関する世界行動計画」のテーマらしいです。
2 「障害者虐待防止法」(2011年(平成23年))における障害者虐待には,障害者福祉施設従事者によるものは除外された。
障害者虐待防止法の障害者虐待は
養護者による障害者虐待
障害者福祉施設従事者による虐待
使用者による虐待
の3つです。
3 「障害者雇用促進法」の改正(2013年(平成25年))では,雇用分野における障害を理由とした不当な差別的取扱いの禁止について,努力義務が課された。
4 「障害者差別解消法」(2013年(平成25年))では,障害を理由とした不当な差別的取扱いの禁止について,民間事業者に努力義務が課された。
どちらも努力義務ではなく,義務です。
5 障害者の権利に関する条約(2014年(平成26年)批准)では,「合理的配慮」という考え方が重要視された。
これが正解です。
障害者の権利に関する条約の重要ポイントは,合理的配慮です。
外務省ホームページhttps://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html