生活保護費には,約4兆円が使われています。
そのうちの約半分が医療扶助です。
今後,どのようになっていくかは分かりませんが,医療扶助を廃止して,生活保護受給者も医療保険制度の対象にするという議論がなされています。
医療に関する自治体の事務を一本化することができるので,効率も良いのでしょう。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題63 低所得者の状況などに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 「平成26年全国消費実態調査所得分布等に関する結果」(総務省)によると,1999年(平成11年)から2014年(平成26年)にかけて,貧困かどうかを判断する貧困線(等価可処分所得の中央値の半分の額)が上昇している。
2 「平成26年所得再分配調査報告書」(厚生労働省)によると,2002年(平成14年)から2014年(平成26年)にかけて,所得再分配後のジニ係数は上昇傾向にある。
3 「平成28年度被保護者調査」(厚生労働省)によると,2012年度(平成24年度)から2016年度(平成28年度)にかけて,世帯類型別被保護世帯数のうち母子世帯の割合は上昇している。
4 「生活困窮者自立支援制度における支援状況調査集計結果(平成29年度)」(厚生労働省)によると,新規相談受付件数は年間30万件を超えている。
5 「平成29年度医療扶助実態調査」(厚生労働省)によると,医療扶助受給者の入院に係る傷病分類別構成割合のうち最も多いのは精神・行動の障害である。
古いデータのものですが,年度によって傾向が変わるものは国家試験に出題されることが少ないので,こういったものでも十二分に使えます。
これはものすごく難しい問題です。
1 「平成26年全国消費実態調査所得分布等に関する結果」(総務省)によると,1999年(平成11年)から2014年(平成26年)にかけて,貧困かどうかを判断する貧困線(等価可処分所得の中央値の半分の額)が上昇している。
相対的貧困率は,上昇しているように思いますが,それほど上昇していません。
むしろ低下傾向にあります。
2 「平成26年所得再分配調査報告書」(厚生労働省)によると,2002年(平成14年)から2014年(平成26年)にかけて,所得再分配後のジニ係数は上昇傾向にある。
所得再分配は格差を縮小させる効果があるので,所得再分配後のジニ係数は上昇していません。
3 「平成28年度被保護者調査」(厚生労働省)によると,2012年度(平成24年度)から2016年度(平成28年度)にかけて,世帯類型別被保護世帯数のうち母子世帯の割合は上昇している。
割合が大きくなってきているのは,高齢者世帯です。
母子世帯の受給は増えているので,割合も大きくなっているように思いますが,高齢者世帯はそれを上回って増加しているので,割合は低下しています。
4 「生活困窮者自立支援制度における支援状況調査集計結果(平成29年度)」(厚生労働省)によると,新規相談受付件数は年間30万件を超えている。
この年の新規相談受付件数は,年間23万件でした。
5 「平成29年度医療扶助実態調査」(厚生労働省)によると,医療扶助受給者の入院に係る傷病分類別構成割合のうち最も多いのは精神・行動の障害である。
これが正解です。
入院で最も多いのは,「精神・行動の障害」です。
トータルで最も多いのは「循環器系の疾患」です。