傷病手当金は,けがや病気のため,労務不能になって,給与の支払いがなかった場合,連続する3日間の待期期間のあと,休業4日目から1年6か月間支給されます。
2022年1月に制度改正があり,それまでは,支給期間に1日でも就労してしまうと,それ以降は支給されなくなってしまいましたが,この改正で,途中で就労したとしてもその部分を抜いて,通算して1年6か月支給されることとなりました。
傷病手当金の出題頻度は高いので,確実に覚えておきたいです。
出典:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22308.html
それでは,今日の問題です。
第31回・問題54 事例を読んで,健康保険などに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
会社員のFさん(35歳,男性)は,健康保険の被保険者であり,妻のGさん(33歳)と同居している。GさんはFさんの加入する健康保険の被扶養者である。ある休日,FさんはGさんを同乗させ,自家用車を運転して行楽に出掛ける途中,誤ってガードレールに衝突する自損事故を起こし,二人ともケガをしたので,治療のため病院に行った。
1 事故はFさんの過失によるものなので,健康保険は適用されず,FさんとGさんは治療費を全額負担しなければならない。
2 事故はFさんの過失によるものなので,Fさんには健康保険が適用されないが,Gさんには治療費について健康保険の給付が行われる。
3 ケガのため,翌日から連続して会社を休み,その間,給与の支払がなかった場合,Fさんは休業4日日から傷病手当金を受けられる。
4 Gさんがパートで働いており,仕事を休む場合,Gさんは傷病手当金を受けられる。
5 Fさんのケガは,労働者災害補償保険の療養補償給付の対象となる。
正解は,選択肢3です。
3 ケガのため,翌日から連続して会社を休み,その間,給与の支払がなかった場合,Fさんは休業4日日から傷病手当金を受けられる。
傷病手当金が出題された場合の注意ポイントは,待期期間(連続した3日間)の記述が正しくされているか,です。
この待機期間については,労働者災害補償保険の療養補償給付(療養給付)も同様です。
それでは,ほかの選択肢も確認します。
1 事故はFさんの過失によるものなので,健康保険は適用されず,FさんとGさんは治療費を全額負担しなければならない。
2 事故はFさんの過失によるものなので,Fさんには健康保険が適用されないが,Gさんには治療費について健康保険の給付が行われる。
健康保険は,もちろん過失でも適用されます。
適用除外になるのは,傷病の原因となった理由が故意による場合です。
4 Gさんがパートで働いており,仕事を休む場合,Gさんは傷病手当金を受けられる。
傷病手当金は,傷病のために就労不能になって給与の支払いがなかった場合の所得を保障してくれる制度です。
Gさんは,Fさんの被扶養者です。Gさんが傷病手当金を受給できるとすれば,Gさん自身が健康保険の被保険者である場合です。
5 Fさんのケガは,労働者災害補償保険の療養補償給付の対象となる。
療養補償給付は,業務災害,あるいは通勤災害によって労務不能になった場合の所得補償です。
Fさんの事故は休日に起きたものなので労災ではありません。