厚生労働省社会・援護局長通知(令和4年4月25日)
「社会福祉士国家試験の在り方に関する検討会」報告書を踏まえた今後の社会福祉士国家試験の実施について
https://www.mhlw.go.jp/content/000932518.pdf
厚生労働省においては、令和3年6月に、「社会福祉士国家試験の在り方に関する検討会」を設置し、第 37回(令和6年度)社会福祉士国家試験から新たな社会福祉士養成課程の教育内容に対応した出題内容とし、社会福祉士として必要な知識及び技能を有するか適正に評価できるよう、社会福祉士国家試験の在り方について有識者による検討、関係団体及び自治体関係者からの意見聴取を踏まえ、提言の内容を整理し、令和4年1月に報告書をとりまとめたところ。 本報告書では、 ・「この提言を踏まえ、厚生労働省並びに指定試験機関である公益財団法人社会福祉振興・試験センターにおいて、社会福祉士国家試験の質を一層高めていくため、出題内容や実施方法等の見直しを行うことが必要である。」 ・「社会福祉士が、地域共生社会の実現を推進するソーシャルワーク専門職として、質的量的な側面において拡充を図り、社会の期待に応え信頼される資格であるためには、社会福祉士国家試験が適正に運用される必要があることから、本検討会の提言を真摯に受けとめ、必要な見直しが行われることを期待したい。」 とされている。 ついては、本報告書を踏まえ、令和6年度より行われる国家試験に向けて適切に対応することとともに、地域共生社会の実現を推進するため、社会福祉士の質的量的拡充に向けて早期に対応を図る観点から、令和4、5年度の国家試験においても、本報告書の内容を考慮し、段階的な移行に努めていただくようお願いする。 |
量的拡充の面では,もしかすると合格率を上げるということもあるのかもしれません。
受験生として着目したいのは,質的拡充の面です。
ここに先日から取り上げている「タクソノミー分類」が当たります。
・タクソノミーⅠ型(単純な知識の想起によって解答できる問題) ・タクソノミーⅡ型(設問で与えられた情報を理解・解釈してその結果に基づいて解答する問題) ・タクソノミーⅢ型(理解している知識を応用して具体的な問題解決を求める問題) |
タクソノミーⅠ型は,知識をつけていくことで得点できます。
知識の想起によって解答,あるいは推定し解答する問題です。
問題は,タクソノミーⅡ型とⅢ型です。
タクソノミーⅡ型は,
事例(情報の提示) → 状況の理解・解釈 → 解答
という思考をたどります。
タクソノミーⅢ型は,
①事例(情報の提示) → 状況の解釈
↓ ↑ → 解答
②選択肢 → 問題解決方針等の解釈
という解答まで2回思考する過程の問題です。
医師の国家試験の問題作成マニュアルでは,以下のような問題が示されています。
タクソノミーⅡ型
58歳の男性。仕事中に倒れたため搬入された。以前から高血圧を指摘されていた。血圧230/120mmHg。意識障害〈傾眠〉があり,右片麻痺を認める。髄液は血性で,上清にキサントクロミーを認める。
最も考えられるのはどれか。
a 脳出血
b 脳塞栓症
c 矢状静脈洞血栓症
d くも膜下出血
e 急性硬膜下血種
タクソノミーⅢ型
生後3週の男児。5日前から哺乳ごとに噴水状嘔吐をするため来院した。食欲は良好で,下痢はなく,排便は3日に1回である。皮膚は乾燥し,緊張度が低下している。右上腹部深部にオリーブ大の弾性硬の腫瘤に触れる。血液生化学所見:Na140mEq/l,K3.0mEq/l,Cl89mEq/l。動脈血ガス分析:pH7.51。
適切な輸液組成はどれか。
Na1(mEq/l) K(mEq/l) Cl(mEq/l) 乳酸(mEq/l) ブドウ糖(%)
a 154 0 154 0 0
b 90 0 70 20 2.6
c 50 20 70 0 3.3
d 35 20 35 20 4.3
e 0 0 0 0 5.3
このマニュアルでは,タクソノミーⅡ型・Ⅲ型であっても誤答肢が魅惑的でないと,選択肢から逆に想起でき,Ⅰ型レベルの問題となることがある。前段階の思考が誤っていれば誤答肢に到達するよう,誤答肢の設定に十分留意する,と述べられています。
タクソノミーⅡ型の問題は,社会福祉士の国家試験では,事例問題です。
事例を読まなくても消去できる事例問題は,タクソノミーⅠ型レベルになります。
事例問題はかなり高度なものとなるでしょう。
タクソノミーⅢ型の問題を社会福祉士国試の問題でどのように出題するのでしょうか。