2022年4月22日金曜日

療育手帳及び知的障害者福祉法は要注意!

現在の知的障害者福祉法は,1960年(昭和35年)の精神薄弱者福祉法の1998年(平成10年)の改正の時に名称を改めたものです。


精神薄弱者福祉法成立の経緯は,従来,知的障害児の施設は児童福祉法に規定され,18歳になると退所することが必要で,親なき後も安心して生活できる施設の創設が望まれたことによります。


身体障害者福祉法など多くの法には,「身体障害者とは」といった法の対象者の定義が規定されますが,知的障害者福祉法は,知的障害者を定義していないのが特徴です。


明確に定義することが困難なためです。


また,療育手帳は,1973年(昭和48年)の厚生省(当時)の通知によって実施されているもので,法的根拠がありません。


そのため,都道府県により名称や内容が異なります。


障害者手帳には,身体障害者手帳,療育手帳,精神障害者保健福祉手帳があります。このうち,手帳の交付がないと障害者と認められないのは,身体障害者のみです。


それでは今日の問題です。


第31回・問題62 身体障害者福祉法,知的障害者福祉法及び「精神保健福祉法」に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 身体障害者福祉法では,身体障害者更生相談所の業務として,必要に応じて「障害者総合支援法」に規定する補装具の処方を行うことが規定されている。

2 身体障害者福祉法において,身体障害者手帳の有効期限は2年間と規定されている。

3 知的障害者福祉法において,療育手帳の交付が規定されている。

4 知的障害者福祉法において,知的障害者更生相談所には,社会福祉主事を置かなければならないと規定されている。

5 「精神保健福祉法」において,発達障害者支援センターの運営について規定されている。

(注) 「精神保健福祉法」とは,「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。


なかなかの難問です。


知識なしでは消去できるものがないからです。


法制度に関する問題は,実は難しく,出題数が少ない歴史や人名に関する問題は捨てても合格できますが,法制度は確実に覚えないと合格することは絶対にできません。


学習戦略を間違わないことか大切です。


さて,この問題の正解は,選択肢1です。


1 身体障害者福祉法では,身体障害者更生相談所の業務として,必要に応じて「障害者総合支援法」に規定する補装具の処方を行うことが規定されている。


身体障害者更生相談所は,身体障害者福祉法で業務が規定されています。


その中には,補装具の処方を行うことも含まれます。


現在の障害福祉サービスは,障害者総合支援法で規定していますが,もともとは障害種別ごとに各法で規定されていたものの名残りです。


障害者福祉が苦手な人にとって,現在も覚えるのは大変だと思いますが,障害者自立支援法が成立する前は,障害種別のサービスになっていたため,今よりももっと複雑で覚えるのが大変でした。


それでは,ほかの選択肢も確認します。


2 身体障害者福祉法において,身体障害者手帳の有効期限は2年間と規定されている。


身体障害者手帳には有効期間はありません。

多くの場合,障害は固定しているので,更新の必要がないからでしょう。


障害の状態に変化があった時に,障害等級の再判定を行います。

精神障害者は,障害者でもありますが,患者でもあります。

そのため,症状が変化するので,有効期間は2年間と定められています。


3 知的障害者福祉法において,療育手帳の交付が規定されている。


前説のとおり,療育手帳には法的根拠はありません。

これまでに何度も何度も繰り返して出題されています。


4 知的障害者福祉法において,知的障害者更生相談所には,社会福祉主事を置かなければならないと規定されている。


社会福祉主事を置かなければならない機関は,福祉事務所です。

知的障害者更生相談所に置かれるのは,身体障害者福祉司です。


5 「精神保健福祉法」において,発達障害者支援センターの運営について規定されている。


発達障害者支援センターが規定されているのは,発達障害者福祉法です。

精神保健福祉法が規定しているのは,精神保健福祉センターです。


最新の記事

ソーシャルワーク4科目で合格をつかむ

ソーシャルワーク系の4科目は,社会福祉士になるためにはとても重要な科目です。 今日は,そのうちの共通科目の「ソーシャルワークの基盤と専門職」です。 少し難しいかもしれませんが,しっかり覚えれば点数を稼ぐ科目になります。 それでは,今日の問題です。 第26回・問題91  2007年...

過去一週間でよく読まれている記事