令和4年4月現在の介護保険施設は,
・指定介護老人福祉施設
・介護老人保健施設
・介護医療院
介護老人福祉施設に「指定」がついているのは,老人福祉法で規定している特別養護老人ホームが介護保険施設としての指定を受けることで,介護保険施設となるからです。
介護老人保健施設と介護医療院は,介護保険法によって設立されています。
介護医療院は,「療養病床」の受け皿として創設されたものです。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題44 医療と介護の最近の改革に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村は,介護保険及び国民健康保険の財政を一体的に管理運営する責任を担うこととなった。
2 医療計画と介護保険事業計画の整合性を確保するため,介護保険事業計画の計画期間は5年に変更された。
3 住民の健康づくりや効率的な医療・介護の提供体制の構築等の地域課題に取り組むため,市町村に保険者協議会が設置されることとなった。
4 地域医療構想は,医療計画と介護保険事業支援計画の内容を包含する構想である。
5 介護保険施設として,新たに介護医療院が設置された。
今となっては,古臭く感じる問題です。
それでは解説です。
1 市町村は,介護保険及び国民健康保険の財政を一体的に管理運営する責任を担うこととなった。
国民健康保険法の改正で,都道府県が市町村とともに国民健康保険の保険者となり,運営の責任を担うようになりました。
市町村の役割は変化していません。
2 医療計画と介護保険事業計画の整合性を確保するため,介護保険事業計画の計画期間は5年に変更された。
医療計画と介護保険事業計画の整合性を確保するために変更したのは,医療計画です。
それまでは5年を一期として策定していましたが,平成30年に,5年を6年に変更しました。
医療計画と介護保険事業計画の同時スタートは,15年ごとにしかできなかったものを,6年ごとに同時スタートできるようになりました。
しかも医療計画は3年ごとに見直すこととなっています。
3 住民の健康づくりや効率的な医療・介護の提供体制の構築等の地域課題に取り組むため,市町村に保険者協議会が設置されることとなった。
保険者協議会は,高齢者医療確保法に規定され,市町村と後期高齢者広域連合が都道府県ごとに設置して,以下を行います。
(1)特定健診・保健指導の実施等に関する保険者間の連絡調整
(2)保険者に対する必要な助言又は援助
(3)医療費などに関する情報の調査及び分析
なお,この協議会には都道府県も国民健康保険の保険者として参画しています。
4 地域医療構想は,医療計画と介護保険事業支援計画の内容を包含する構想である。
地域医療構想は,2025年の医療需要と病床の必要数を推計して,都道府県が策定します。
医療計画と介護保険事業支援計画とは別の内容です。
それぞれの法制度は,重ならないように作られます。これは結構重要なことなので覚えておきたいです。
5 介護保険施設として,新たに介護医療院が設置された。
これが正解です。
今となっては,全然難しくないと思いますが,突然出題されると「何か裏があるのでは?」と思ってしまいます。
しかし,国家試験は,多くの人が思うほど,意地悪なものではありません。
慎重なのは良いことですが,疑心暗鬼になると墓穴を掘ることになるので注意が必要です。