2022年5月7日土曜日

生活困窮者自立支援制度の必須事業と任意事業

生活困窮者自立支援制度は,第二のセイフティネットとして創設されたものです。


都道府県と福祉事務所を設置する自治体の必須事業は,


・生活困窮者自立相談支援事業

・生活困窮者住居確保給付金


の2つです。


任意事業はたくさんありますが,まずは必須事業を押さえておくことが大切です。




出典:厚生労働省ホームページ 制度の紹介
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/jiritsu_leaflet_low_H2.pdf


それでは今日の問題です。


第31回・問題68 事例を読んで,L相談支援員(社会福祉士)の支援として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 夫と死別したT市在住のMさん(39歳)は,長男(14歳)とアパートで生活している。Mさんは長男の高校進学を考え,パート勤務をしているが生活が苦しく,安定した生活を望んでいる。そこでMさんは,T市の生活困窮者自立相談支援事業を実施している市役所のL相談支援員に相談した。

1 Mさんの生活が苦しいので,給料を上げるよう勤務先の店長にお願いした。

2 長男の中学校の学級担任に相談内容を記載した相談記録票を見せて,家庭の状況を説明した。

3 公共職業安定所(ハローワーク)のキャリアコンサルティングに従事する職員と協働してMさんを支援することにした。

4 婦人保護施設への入所を勧めた。

5 住居確保給付金の利用を勧めた。


この中で,生活困窮者自立支援制度に関連していないものは,

1 Mさんの生活が苦しいので,給料を上げるよう勤務先の店長にお願いした。

2 長男の中学校の学級担任に相談内容を記載した相談記録票を見せて,家庭の状況を説明した。

4 婦人保護施設への入所を勧めた。


の3つです。これらはすぐ消去できるでしょう。


関連するものは,


5 住居確保給付金の利用を勧めた。


しかし,住宅確保給付金は,リーフレットにあるように,離職などによって,住居を失った人,または失うおそれのある人に対して,一定期間にわたって家賃相当額を給付するものです。


Mさんは生活に困窮していますが住宅があり,また失うおそれもないために給付金の対象にはならないと考えられます。


住宅確保という言葉から,知識がなくてもMさんには関係なさそうだと推測することは可能です。


ということで,正解は選択肢3です。


3 公共職業安定所(ハローワーク)のキャリアコンサルティングに従事する職員と協働してMさんを支援することにした。


生活困窮者自立支援制度では就労支援を重視した任意事業として

・生活困窮者就労訓練事業

・生活困窮者就労準備支援事業


があります。


Mさんは,ハローワークでおそらくキャリアコンサルティングを受けて,Mさんにあった生活困窮者就労訓練を受けることになりそうです。


<今日の一言>


知識が不足していると,国試では焦りがちです。


しかし,焦っては正解できるものでもミスする可能性が高まってしまいます。


この問題では,「住宅確保給付金」がキーになっていると考えられます。


解説に書いたように,落ち着けば,家があるMさんには関係なさそうだと考えられるはずです。国家試験会場ではそれができないところに落とし穴があります。


自信がない時こそ,冷静にどこかにヒントがないか考えることが必要であることを教えてくれる問題です。

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